2020年04月18日

錆びた太陽

『錆びた太陽』
著:恩田陸(朝日文庫)

立入制限区域をパトロールするロボット「ウルトラエイト」の居住区に、国税庁から派遣されたという謎の女・財護徳子が現れる。だが彼らには、人間の訪問が知らされていなかった。戸惑いながらも、人間である徳子の命令に従うことにするのだが……。
「BOOK」データベースより

うーん、面白かったです。
『消滅 VANISHING POINT』にとてもよく似た雰囲気。
ストーリーや設定が面白い、と言うよりは、雰囲気と会話が抜群に面白い感じ。
様々なジャンルの要素が混ざり合っていて、まさに恩田作品と言ったところ。

小ネタも随所に沢山仕込まれているようです。
残念ながら私は、ロボット達の名前が某ドラマ由来だということさえ分かりませんでしたので(ネット上の感想を拝見して知りました……)きっと半分も気づかなったのではと思われます……。
posted by ミクロン at 02:00 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月31日

終わりなき夜に生れつく

『終わりなき夜に生れつく』
著:恩田陸(文春文庫)

索条痕のない窒息死体が連続で見つかった。この殺人事件に、あの男は関与しているのか。雑誌記者が、あとを追う。特殊能力を持つ者たちが覇権を争う「途鎖国」でやがて犯罪者の王として君臨する神山が、闇に目覚める瞬間を描く(表題作)。傑作ダーク・ファンタジー『夜の底は柔らかな幻』へと続く鮮烈な作品集。
「BOOK」データベースより

『夜の底は柔らかな幻』の前日譚にあたる短編集。
面白かったです!
読了後は思わず『夜の底は柔らかな幻』を読み返した程です。
ちょっと設定が変わったような印象も受けましたが気になるほどでもなく。

やっぱり軍勇司は良いキャラですね〜。ますます好きになりました。

葛城はちょっと……と言うか、かなり本編と印象が違いました。今作だととっても素敵でビックリ。
やっぱりイロの副作用で変調をきたしたのでしょうかね。とてもあれ程執着するようなタイプとは思えない。
あと、藤代有一との関係がイマイチぼんやりしたままだったのは残念。
本編でもさほど重要な関係とは思えませんでしたし、そもそも本編では藤代有一は名前しか出てなかったような……。
この辺りでもう一話あると嬉しいです。

本編では謎に包まれたままだった神山は、案外普通の印象……(爆)
でも得体の知れない感じは本編同様で、もうちょっと詳しく読みたいところでした。

いつか後日譚も書いて頂きたいところ……ギンナンのその後が気になって仕方ないのです、はい。
posted by ミクロン at 21:00 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月25日

とるとだす

『とるとだす』
著:畠中恵(新潮社文庫)

若だんなの父、藤兵衛が倒れた!長崎屋の大黒柱の危機に、妖たちも大慌て。一太郎は、父の命を救うため、薬種屋たちのいさかいに飛び込み、蜃気楼のなかに迷い込み、恐ろしい狂骨の怨念につきまとわれながら、ついには神が住む常世の国を目指すことになるのだが―。八面六臂の活躍を見せる若だんなは父を助けることができるのか!?不思議と怪奇に彩られた、スリル満点のシリーズ第16弾。
「BOOK」データベースより

毎年、年末年始に読むのが恒例になってきました(笑)
こちらもそろそろ見切りを付けようか悩んでいるシリーズですが、読むとそれなりに面白いので困ります。

今回印象に残ったのは『長崎屋の主が死んだ』。
久々に第一作目の『しゃばけ』を彷彿とする作品でした。
狂骨の不気味さがとっても良かったです。
『しゃばけ』以外、あまりホラー要素のある作品は少なかったので、久々にピリッとしていて新鮮味がありました。

シリーズとしては、徐々に進んではいる印象。
そう遠くない内に、『えどさがし』に繋がるお話が読みたいものです。
posted by ミクロン at 23:00 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月12日

蜜蜂と遠雷

『蜜蜂と遠雷』
著:恩田陸(幻冬舎文庫)

【上巻】
近年その覇者が音楽界の寵児となる芳ヶ江国際ピアノコンクール。自宅に楽器を持たない少年・風間塵16歳。かつて天才少女としてデビューしながら突然の母の死以来、弾けなくなった栄伝亜夜20歳。楽器店勤務のサラリーマン・高島明石28歳。完璧な技術と音楽性の優勝候補マサル19歳。天才たちによる、競争という名の自らとの闘い。その火蓋が切られた。

【下巻】
2次予選での課題曲「春と修羅」。この現代曲をどう弾くかが3次予選に進めるか否かの分かれ道だった。マサルの演奏は素晴らしかった。が、明石は自分の「春と修羅」に自信を持ち、勝算を感じていた……。12人が残る3次(リサイタル形式)、6人しか選ばれない本選(オーケストラとの協奏曲)に勝ち進むのは誰か。そして優勝を手にするのは――。
「BOOK」データベースより

やっと読めました〜。
評判通り、面白かったです。
久々に素直にそう感じた作品でした。

やっぱりこういう作品は抜群に巧いなぁと感じました。
地に足着いた描写は本当に臨場感があってグイグイ引っ張られてしまいます。
本当に音が聴こえる気がするような没入感だったり、会場の独特の緊張感や一体感がひしひしと感じられました。

ストーリーも設定も、真っ直ぐでシンプル。
にも関わらず、ここまで長い作品を飽く事無く一息に読ませてしまうのは、さすがと言う他ありません。
こういう作品があるから、なかなか見切りをつけられないんですよね……(苦笑)

ただ、私は同じ恩田陸作品の『チョコレートコスモス』が大好きでして。
なので、今作はどうしても焼き直しに感じてしまい、それだけが残念でした。
題材こそ違いますが、基本的にそっくりだと思うんです。
あと『のだめカンタービレ』も(似てるとかそういう意味ではありませんが)時々チラついてしまいました(笑)
あのピアノへの情熱というか、音楽への信頼というか、そういうのがとっても素敵だなって。

今作が思っていた以上に面白かったので、まだ積読中の作品にも期待度が上がってしまいました♪
posted by ミクロン at 22:00 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月27日

失われた地図

『失われた地図』
著:恩田陸(角川文庫)

錦糸町、川崎、上野、大阪、呉、六本木。日本各地の旧軍都に発生すると言われる「裂け目」。かつてそこに生きた人々の記憶が形を成し、現代に蘇る。鮎観の一族は代々、この「裂け目」を封じ、記憶の化身たちと戦う“力”を持っていた。彼女と同族の遼平もまた同じ力を有した存在だった。愛し合い結婚した二人だが、息子を授かったことから運命の歯車は狂い始め―。直木賞作家の真髄を味わえる、魅惑の幻想ファンタジー。
「BOOK」データベースより

結構前に読んだので、曖昧な記憶頼みの感想です(爆)
ちょっと酷い感想ですので、ご注意下さい。

近年は特に当たり外れが大きくなってきたように感じますが、私個人の好みから言うと、外れの作品でした。
『雪月花黙示録』も個人的にかなりの外れだったのですが、今作はこれに非常に近く感じました。
とにかく雰囲気だけで読ませる感じだったと言いますか……。雰囲気はとっても良かったと思います。
一応は完結しているのですが、どうにも打ち切り漫画のような中途半端なまとめ方に感じてしまったり。

これは本当に個々人の好みの問題なのでしょうが、恩田陸はファンタジーやアクションに向いていないと思うのです。
ファンタジーの定義も様々でしょうが、この場合は現実世界で突飛な事象が起こるタイプかな。
非現実的な部分の表現がどうも空回りしていて、独りよがりに感じてしまって……。常野シリーズとかは面白かったんですけれど。
なんとなくイメージは伝わってくるものの、説得力に欠けるので迫力も面白味も感じられないと言いますか。
ただ、イメージだけは伝わってくるので、勿体ない気もしました。
せめてその『裂け目』が広がると何が問題なのかって辺りの、世界観の土台をガッチリ説明してくれていたら、また違ったのかもしれません。

多分、漫画や映画だったら面白かったんじゃないかと思うんです。
それともバランス的な問題なのかな。
ラノベのように軽い調子で書かれると逆に説得力が出るのかも。

何だかとんでもなく酷い感想で心底申し訳ないです……。
積読の『錆びた太陽』と『終わりなき夜に生まれつく』に期待します!
posted by ミクロン at 23:00 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする