2016年10月08日

この闇と光

『この闇と光』
著:服部まゆみ(角川文庫)

森の奥に囚われた盲目の王女・レイアは、父王の愛と美しいドレスや花、物語に囲まれて育てられた……はずだった。ある日そのすべてが奪われ、混乱の中で明らかになったのは恐るべき事実で―。今まで信じていた世界そのものが、すべて虚構だったのか?随所に張りめぐらされた緻密な伏線と、予測不可能な本当の真相。幻想と現実が混ざり合い、迎えた衝撃の結末とは!?至上の美を誇るゴシックミステリ!
「BOOK」データベースより


はい、こちらも自宅療養期間中に読んだ作品です。
上記期間中に読んだ作品があと何冊かあるので、早く書いておかないと忘れてしまいそうなのに、この遅さ……(爆)

半年位前に本屋さんで平積みにされていて、大々的に宣伝されていたので、思わず購入。
正直、こちらの作家さんのお名前さえ知りませんでした……(汗)

結論から言うと、出版当時に読みたかった作品でした。
この作品自体がどうこうではなく、私が勝手に時機を逸した感がありました……非常に勿体なかったです!
今ではこの手の手法の作品が溢れていて、どうしても目新しさに欠けてしまって。
結末もそれほど予想外でもありませんでしたし……。
刊行当時(98年だそうです)だったら、ドキドキしながら読めたと思うんです。ああ勿体ない。

登場人物や心理描写などは翻訳小説のような趣もあり、ライトだけれど情感のある文章は落ち着きがあってとても読みやすかったです。ちょっと昔の日本文学っぽい感じと言うか。
ストーリーはこんな歳と時代なので上述の通りでしたが、細かな描写が美しく目の前に鮮明に浮かぶようでした。
長田弘氏の詩(?)がピッタリだな、と。
"人は、ことばを覚えて、幸福を失う。 そして、覚えたことばと おなじだけの悲しみを知る者になる。"
レイアは正に光を得て幸福を失い、悲しみも知って、そうしてもう二度と悲しみを知る以前と同じ幸福は得られない訳で。

久しぶりに鮮やかで印象に残る作品でした。
そうそう、乙一氏の『華歌』も思い出しました。氏の作品の中で一番大好きな短編なんですが、トリック(?)的に似たような感じに思えたのです。
やっぱり、何故もっと早くに読まなかったのか悔やまれます……!!

これを機に、他の作品も読んでみたくなりました!
本当に蛇足ですが、もう"王女・レイア"と言われたら……彼の惑星オルデランのお姫様が浮かんでしまって。わ、私だけではないハズ!!(笑)
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2016年09月29日

エチュード春一番 第一曲 小犬のプレリュード

『エチュード春一番 第一曲 小犬のプレリュード』
著:荻原規子(講談社タイガ)

「あなたの本当の目的というのは、もう一度人間になること?」大学生になる春、美綾の家に迷い込んできたパピヨンが「わしは八百万の神だ」と名乗る。はじめてのひとり暮らし、再会した旧友の過去の謎、事故死した同級生の幽霊騒動、ロッカーでの盗難事件。波乱続きの新生活、美綾は「人間の感覚を勉強中」の超現実主義の神様と噛み合わない会話をしながら自立していく―!
「BOOK」データベースより


これまた自宅療養期間中に読んだ作品です。
もう2巻が出ているらしく……月日が経つのって早いですねぇ……。

読んでいて妙に軽めのストーリーだったので、ちょっとビックリしまして。
あまりに先が読み易くて退屈に感じてしまいました。
分かり易い伏線とキャラクターで、読み進める分にはストレス無く読めましたが、もう少し色々と捻って欲しかったなぁ、というのが正直な感想です。
『RDG』もあまり熱中出来なかったので、やっぱり私の年齢的な問題が大きいのでしょう……(遠い目)
次巻からはその心構えで読んでみます!

智佳は有理(『樹上のゆりかご』)の現代版、彼女をよりリアルにしたような印象でした。
彼女には初っ端からイライラさせられて、美綾の妄信っぷりにも更にイライラ……(爆)
何となく加納朋子の“駒子シリーズ”の宇佐美さんも思い出しました。宇佐美さんの方は堂々としていて好きですが(笑)
割とよく出てくるタイプのキャラなので、意外性が全く無かったのが残念です。
泉水子(『RDG』)にはあまり苛々しなかったのに、美綾は結構イライラしちゃいます……。

何となく『樹上のゆりかご』を現代的&若年層向けにアレンジしたような印象です。
『樹上のゆりかご』と『RDG』を足して割った、の方が近いかな。
そもそもこの"講談社タイガ"ってレーベルも知らなったのですが、若年層向けだったんですね。知りませんでした。ライトノベルとはまた違うのかな??
最近は新しいレーベルも多くて、ますます本棚の統一性が失われて行きますね(苦笑)
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2016年09月21日

さくら聖・咲く 佐倉聖の事件簿

『さくら聖・咲く 佐倉聖の事件簿』
著:畠中恵(新潮文庫)

弟を養うためサラリーマンになる!そう決意した大学三年の佐倉聖。元政治家、大堂の下で事務員をしているが、コネ採用はお断りだ。事務所がらみの難問は鮮やかに解決する聖も、就職活動では悪戦苦闘。面接先の広告代理店では事件に遭遇、商社ではインターンシップを突然クビに。奮闘する聖の元に、身に覚えのない五通の内定通知が届く――。爽快感あふれる青春ユーモア・ミステリー。
「BOOK」データベースより


これまた自宅療養期間中に読んだ1冊です。
でもこの辺りからは割と最近の作品です。

前作をものの見事に忘れ去っていました。
今作を読んでいても、あまり前作を思い出せなくて。
憶えてたのは人間関係位。
面白かった、という印象はぼんやり残っているのですが……(汗)

それにしても、今作は現在就活中の方々が読んだら、さぞ立腹モノだろうなぁと思わずにはいられませんでした。
コネでも何でも選択肢がこれほどあるのは恵まれているんじゃないかと思います。
なので、あまり聖に共感が出来ず。ちょっと贅沢なお悩みな気がしまして(笑)

それでも連作の短編集のような構成なので、テンポも軽快で結末もそれぞれでハッキリ着くので楽しんで読めました。
拓が大きくなって、真っ当な子に成長していたのは嬉しかったです。聖の苦労が報われているんだなぁ、と。
他の面々は相変わらずの賑やかさで微笑ましかったですし。……誰だっけ、な方もいましたが(爆)

この作品を読むと議員事務所ってハードだけど楽しそうな職場だな〜って思えてきちゃいますが、もう少し実際の業務の様子もあると嬉しかったです。……あ、もしかして前作で描かれてたのかな??
そのうち再読しよ……。
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2016年09月08日

残り全部バケーション

『残り全部バケーション』
著:伊坂幸太郎(集英社文庫)

当たり屋、強請りはお手のもの。あくどい仕事で生計を立てる岡田と溝口。ある日、岡田が先輩の溝口に足を洗いたいと打ち明けたところ、条件として“適当な携帯番号の相手と友達になること”を提示される。デタラメな番号で繋がった相手は離婚寸前の男。かくして岡田は解散間際の一家と共にドライブをすることに―。その出会いは偶然か、必然か。裏切りと友情で結ばれる裏稼業コンビの物語。
「BOOK」データベースより


自宅療養期間中に、未読本を片っ端から読破しました。
もう半年近く積読だった作品のようで、今更感が凄いのですが、折角読んだのでほんのすこしだけでも感想をば(汗)

『残り全部バケーション』
これは何とも……。
面白くなくはないのですが、アッサリ過ぎて引っかかるものが何も……。
お父さんが妙に可愛らしくって憎めなかったです。

『検問』
これが一番面白かったです。
この有り得そうで有り得なさそうなバランスが好きです。
結局Win-Winとなった結末も小気味いいですし。(内容的には犯罪もいいところですけど・笑)

『飛べても8分』
割と真っ直ぐな構成で、驚くようなどんでん返しはありませんでしたが、よくまとめたな〜と思いました。
良いところで終わってしまっているので、しっかり決着を見届けたかったという気もしますが、これはこれで良い余韻な気もします。

* * * * *

やっぱり短編だとちょっぴり物足りなく感じてしまいました。
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2016年07月10日

ご近所美術館

『ご近所美術館』
著:森福都(創元推理文庫)

小さなビルの二階にある“美術館”。のんびり寛げるラウンジは憩いの場として親しまれ、老館長が淹れるコーヒーを目当てに訪れるお客もちらほら。その老館長が引退して、川原董子さんが新館長に。一目惚れした常連の海老野くんは、彼女を振り向かせたい一心で、来館者が持ちこむ謎を解決していく。果たして彼の恋の行方は?青年が美術館専属の探偵となって奮闘する連作ミステリ。
「BOOK」データベースより


森福都氏もまた作家買いの作家さんの一人です。
『十八面の骰子』や『長安牡丹花異聞』は本当に面白くって、かなり再読頻度が高い作品です。
なのに、絶版やら文庫化されていない作品も多くて非常に残念です。
今作は現代モノ。
舞台が現代なのは『マローディープ 愚者たちの楽園』以来かも?

連作短編って読みやすくて好きなのですが……ちょっと読みやす過ぎな印象でした。
物足りない感。
舞台設定も登場人物も悪くないと思うのですが、イマイチ活きていないような気がしてしまって、中途半端な感じのまま終わってしまいました。
ちょっと焦点が分からない感じで。

あと、南田って絶対何だか怪しい! と睨んでいたのですが……怪しくなかったようですね(汗)
董子の財布って拾ったんじゃなくって、盗ったんだと考えていたのです。
なのでず〜っとモヤモヤしてたり。単に私がヒネクレ者だったって事ですね……(^^;)

面白かったのは『ペイパー』と『パレット』。
どちらも殺伐とした事件ではないところが、この作品の雰囲気にピッタリで。
こういう日常的(?)な事件の謎解きの方が、作品の世界観に合っていたんじゃないかと思います。
"チロリさん"という呼称も可愛らしかったですし、寺西のおばさんのキャラは非常に強烈で笑えました。

あんなにひっそりとした美術館には惹かれます!
本当にあったら毎日通ってしまう事請け合いです(笑)
舞台設定は本当に好みでした。
posted by ミクロン at 23:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする