2016年09月08日

残り全部バケーション

『残り全部バケーション』
著:伊坂幸太郎(集英社文庫)

当たり屋、強請りはお手のもの。あくどい仕事で生計を立てる岡田と溝口。ある日、岡田が先輩の溝口に足を洗いたいと打ち明けたところ、条件として“適当な携帯番号の相手と友達になること”を提示される。デタラメな番号で繋がった相手は離婚寸前の男。かくして岡田は解散間際の一家と共にドライブをすることに―。その出会いは偶然か、必然か。裏切りと友情で結ばれる裏稼業コンビの物語。
「BOOK」データベースより


自宅療養期間中に、未読本を片っ端から読破しました。
もう半年近く積読だった作品のようで、今更感が凄いのですが、折角読んだのでほんのすこしだけでも感想をば(汗)

『残り全部バケーション』
これは何とも……。
面白くなくはないのですが、アッサリ過ぎて引っかかるものが何も……。
お父さんが妙に可愛らしくって憎めなかったです。

『検問』
これが一番面白かったです。
この有り得そうで有り得なさそうなバランスが好きです。
結局Win-Winとなった結末も小気味いいですし。(内容的には犯罪もいいところですけど・笑)

『飛べても8分』
割と真っ直ぐな構成で、驚くようなどんでん返しはありませんでしたが、よくまとめたな〜と思いました。
良いところで終わってしまっているので、しっかり決着を見届けたかったという気もしますが、これはこれで良い余韻な気もします。

* * * * *

やっぱり短編だとちょっぴり物足りなく感じてしまいました。
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2016年07月10日

ご近所美術館

『ご近所美術館』
著:森福都(創元推理文庫)

小さなビルの二階にある“美術館”。のんびり寛げるラウンジは憩いの場として親しまれ、老館長が淹れるコーヒーを目当てに訪れるお客もちらほら。その老館長が引退して、川原董子さんが新館長に。一目惚れした常連の海老野くんは、彼女を振り向かせたい一心で、来館者が持ちこむ謎を解決していく。果たして彼の恋の行方は?青年が美術館専属の探偵となって奮闘する連作ミステリ。
「BOOK」データベースより


森福都氏もまた作家買いの作家さんの一人です。
『十八面の骰子』や『長安牡丹花異聞』は本当に面白くって、かなり再読頻度が高い作品です。
なのに、絶版やら文庫化されていない作品も多くて非常に残念です。
今作は現代モノ。
舞台が現代なのは『マローディープ 愚者たちの楽園』以来かも?

連作短編って読みやすくて好きなのですが……ちょっと読みやす過ぎな印象でした。
物足りない感。
舞台設定も登場人物も悪くないと思うのですが、イマイチ活きていないような気がしてしまって、中途半端な感じのまま終わってしまいました。
ちょっと焦点が分からない感じで。

あと、南田って絶対何だか怪しい! と睨んでいたのですが……怪しくなかったようですね(汗)
董子の財布って拾ったんじゃなくって、盗ったんだと考えていたのです。
なのでず〜っとモヤモヤしてたり。単に私がヒネクレ者だったって事ですね……(^^;)

面白かったのは『ペイパー』と『パレット』。
どちらも殺伐とした事件ではないところが、この作品の雰囲気にピッタリで。
こういう日常的(?)な事件の謎解きの方が、作品の世界観に合っていたんじゃないかと思います。
"チロリさん"という呼称も可愛らしかったですし、寺西のおばさんのキャラは非常に強烈で笑えました。

あんなにひっそりとした美術館には惹かれます!
本当にあったら毎日通ってしまう事請け合いです(笑)
舞台設定は本当に好みでした。
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2016年07月04日

雪月花黙示録

『雪月花黙示録』
著:恩田陸(角川文庫)

ミヤコの最高学府、光舎の生徒会長選挙。それはミヤコ全体の権力者を決定する伝統と狂騒のイベント。美形剣術士で春日家の御曹司、紫風は三期目の当選を目指していた。ある日、紫風は立会演説会中に選挙活動を妨害される。それは反体制勢力、「伝道者」の宣戦布告だった。彼といとこの女子高生剣士、蘇芳は次第に巨大な力に巻き込まれていき―。アクション満載、近未来の日本を舞台に繰り広げられる、絢爛豪華な玉手箱!
「BOOK」データベースより


恩田陸の文庫新刊……と言いつつ、もう半年近く経ちそうな感じで、全然読むのが追いつきません……(涙)
恩田陸は『夜の底は柔らかな幻』以来かな?
何だかとっても久しぶりな気がします。

表紙を見た時点で結構危惧していましたが……やっぱりキワモノ的な作品に感じました。
それぞれの設定はとっても面白いのですが……詰め込んだ割に全然活きているとは思えず……(汗)
紫風ってミヤコでは一応要職に就いている(らしい)のにいっつも後手後手で、全然優秀さを感じられないし、萌黄と蘇芳もどちらか一人で良かったんじゃないかなって位、個性の割にはそれほど重要なキャラにも成り得ていない気がして。

そもそも世界観がちょっと中途半端に感じます。もしくは説明不足なのかも。
長編と言うよりは連作短編の趣きですし、各話それぞれで全く別の本にした方が良かったんじゃないかなと。
無理やりまとめた印象だから、どこもかしこも物足りない割には情報量だけが多いのかなって。
"暁の7人"も非常に面白い設定だったのに、曖昧なままで終わってしまったり。
黒の楔のあたりの事情、もっと読みたくて仕方ないです……!!
佐伯と萌黄の決着も見たかったなぁ。

及川道博とミズスマシロボットは可愛らしくって好きです。
「ミッチー、ミッチー、ラブ、ラブ、ラブ」のダンスがめっちゃ可愛い(笑)
道博ってやっぱり及川光博がモデル、なんでしょうかね。
憎めないキャラで、作中では一番好きです。

全体としては、なんとなく『ロミオとロミオは永遠に』に似た印象を受けましたが、あちらの方が面白かったです、はい。
次作に期待しています。

そうそう、どうでもいいですが"暁の7人"で"暁の4戦士"を思い出したのは私だけではないハズ……!!(笑)
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2016年06月17日

黄金の烏

『黄金の烏』
著:阿部智里(文春文庫)

人間の代わりに「八咫烏」の一族が住まう世界「山内」で、仙人蓋と呼ばれる危険な薬の被害が報告された。その行方を追って旅に出た日嗣の御子たる若宮と、彼に仕える雪哉は、最北の地で村人たちを襲い、喰らい尽くした大猿を発見する。生存者は、小梅と名乗る少女ただ一人―。八咫烏シリーズの第三弾。
「BOOK」データベースより


つい先日前作を読んだばっかりでの新刊発売で、思わずすぐに読んでしまいました。
電子版もすぐに出ているのは嬉しい限りです。

前2作より断然面白かったです!
猿がイイ、猿が。
あの得体の知れない不気味さが堪りません。
しかも山内の喉元から現れる辺り、非常にイイです!!(笑)
ちょっと『十二国記』の妖魔っぽい不気味さでした。どこからともなく湧いてくるような感じが。
知能はともかく、知識は八咫烏たちより持っている模様。
猿側の事情ももっと知りたい所です。
持ち越した決着を含めて、次巻に期待しています!

ここにきてようやく世界観も全容が見えて来ました。
ほぼ予想の範囲内で、さほど驚きも目新しさもありませんでしたが、意外だったのが時代設定。
星空が見えない程の夜景であれば、どんなに頑張っても明治以降ですよね。
でも多分現代なのかな〜、それほどの夜景なら。
山内の文化レベルからして、漠然と古代〜中世辺りの時代を想定していたのでこれはかなり意外でした。
でもだからこそ山内の世界(空間?)が呑まれそうになるのかな、とか。

浜木綿や真赭の薄も今作ではしっかり登場。
でも存在感が若干物足りない気も。メインではないので仕方ないですが、真赭の薄が好きなので。
どうでもいいのですが、浜木綿ってどうしてもファング(FF13)のイメージだったりします(爆)
お陰で彼女はどうにもあまり好きになれないのでした(汗)素敵なキャラだと分かってはいるのですが。
奈月彦は……今作でも可も不可もなく。
金烏って、ちょっと麒麟(『十二国記』)っぽいんだな〜って思いましたが、それ以外ではいまいち魅力も疵も感じないので、未だ興味を持てません。
やっぱり、読んでいく上で雪哉の存在は非常に大きいです。
相変わらず鳥彦のイメージが拭えませんが(笑)
いや、鳥彦王(『風神秘抄』)のがより似てるかな。
なんにせよ雪哉は可愛いから良しとします♪

さて。
今作を読んでようやく『十二国記』と比される意味が分かりました(遅)
全体的な設定が似てるんだな〜って。
決して模倣やパクリって意味ではなく、あくまで私個人の印象です。
結局外界が人間界だと、今後現代人が紛れ込んで〜な感じになったりする可能性もあるわけで。海客のように。
あ、もしかしてその現代人が山内の問題解決の鍵になるとか……??
って、さすがにそんな安易な展開にはならないですよね。
根本的な解決にはならないないけれど、猿に関しては強固な結界とかで、山内との通路封鎖で対処できそうですし。根本的な解決となると、殲滅か和睦……どちらも難しそうですし。
メインの問題は山内の浸食による崩壊になるのかな。
あと少しでシリーズの着地点が見えそうにも感じます。
うーん、この位の面白さなら紙版で揃えても良いかなぁ……(悩)
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2016年05月20日

一瞬と永遠と

『一瞬と永遠と』
著:萩尾望都(朝日文庫)

私は何のために生きているのだろう。あの頃は今がどんな未来へ繋がるか、考えもしなかった。そしてやっぱり、ここにいる―。繊細で瑞々しい感性と、代表作に繋がる深い思索に圧倒される、鮮烈なエッセイ集。新たにエッセイ2編とあとがきを加え待望の文庫化!
「BOOK」データベースより


大好き、という言葉では表しきれないほど敬愛する萩尾望都。
勿論先日の『ポーの一族』の復刻BOXも買いました♪
そもそもは母親がファンだったので、幼少時から愛読しており、それはもう大変な影響を受けました。影響を受けたわりに、その結果は出ませんでしたが(苦笑)
今作はエッセイ集。
リアルタイムの世代ではないので、なかなかお人柄を深く知る機会がなかっただけに、これは物凄く新鮮に感じました。
とりあえず、いくつかの感想を。

『宙空漂う「なぜ」の問いかけ』
阿修羅像のお話です。
勿論と言いますか、当然"阿修羅"と言われて浮かぶのは『百億の昼と千億の夜』の阿修羅王です。
そのイメージモデルとなったのが、興福寺の阿修羅像だそうで、もう俄然奈良へ行きたい衝動に駆られました。いつか絶対見に行きます!!

『地球の半分の雪』
私自身が生粋の雪国人なので、なるほど雪が珍しい地域の方はそう感じるのかと、非常に新鮮な思いで読みました。
雪国人の立場から言わせてもらうと、一年の半分近くを凍えて暮らすなんてかなり人生を損しているなー、なんて思う事があるのです。
でも、それでも雪が好きなのです。
毎年毎年、何度見てもハッとするほどの美しい雪景色が見られるからこそ、時には悪態を吐いたり春を切望したりしつつも、やっぱり雪国を離れられないのでした。これもまた惚れた弱みでしょうかねぇ。
エッセイの中にある"非日常"という表現は何とも言い得て妙だと思いました。

『批評の型あれこれ』
これが一番面白かったです。
いやー、色々と耳が痛い内容でした。
でも確かに複数人で感想を言うと、パターンがありますよね。
私は……重箱スミツッツキモンク型とアメリカンフットボール突進型を足して2で割って、ちょっぴり純情文芸感動型を入れた感じ……な気がします……。
ちょこっと自省しようと思います(^_^;)

* * * * *


このエッセイ集では、これまでの漫画作品からぼんやりと抱いていた人物像から、またガラリと違った印象を受けました。
上手く表現出来ないのですが、かなりシャープな感じと言いますか。
あと、なんて間口が広いのか、とも。
漫画家さんは多忙、というイメージがあるのですが、にも関わらず多様な経験をし、多くの作品に触れているのが本当に凄くて。そしてそれらをきちんと消化・吸収している事も。
だからこそ、あれほど多彩な作品を生み出せるんだろうなぁ。
私は歳をとるほどどんどん嗜好が固定化され、間口が狭くなってしまっているので、これを機に関心を持っていなかった方面にも広く目を向けなくてはと思いました。
posted by ミクロン at 02:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする