2020年08月30日

塵よりよみがえり

『塵よりよみがえり』
著:レイ・ブラッドベリ/訳:中村融(河出文庫)

小高い丘に建つ一軒の屋敷。住む者は、ミイラのおばあちゃん、心を自由に飛ばす魔女セシー、鏡に映らない夫婦、たったひとりの人間の子ティモシー。いまここで、魔力をもつ一族の集会がはじまる。そして、何かが変わる日もまた近い……ファンタジーの巨匠が五十五年の歳月をかけて完成させた、とても特別な物語。
「BOOK」データベースより

新刊ではないのですが、恩田陸の『土曜日は灰色の馬』(まだ読みかけです……)で存在を知って、購入。
それまで『集会』と『アンクル・エナー』しか読んだことがありませんでしたし、この二作以外の存在を知らなかったので、一冊になるほどのシリーズだったと知って驚きました。

とっても美しい作品でした!
薄暗く埃っぽい雰囲気に、何となく息をひそめて読みました(笑)

ユーモアに満ちていて、どの作品もそれだけでしっかり独立していて読み応えもたっぷり。
最後もとっても素敵でした。
非常に現実的で合理的だけれど、ちょっと可笑しくて、物凄く優しい。
夢から覚めても、まだ続いているような。
読んでる最中も読み終えた後も、うっとりしてしまいました。

萩尾望都の描いた『集会』のイメージがとても好きなので、シリーズまとめて漫画化して頂きたいなぁ、なんて思ったり。
これを機にブラッドベリをもっと読んでみようかなと思いました。
posted by ミクロン at 08:00 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月09日

小公子

『小公子』
著:フランシス・ホジソン・バーネット/訳:川端康成(新潮文庫)

アメリカに生まれた少年・セドリックは、大好きな母や周囲の人々の細やかな愛情に包まれ幸せに暮らしていたが、名も知らぬ貴族の祖父の跡継ぎになるためイギリスへ渡ることとなった。祖父は意地悪で傲慢で、アメリカという国を嫌っていたが、セドリックの純真さに心動かされ、次第に変化していく。だがそこへ真の跡取りを名乗る者が現れて――。川端康成の名訳でよみがえる児童文学の傑作。
「BOOK」データベースより

山田章博氏のイラストと小野不由美主上の帯に惹かれて購入(爆)
これだけ有名な作品にも関わらず、恥ずかしながら未読でした……。世界名作劇場版ですら見ていないです……。
ちなみに『小公女』も未読です……。

さて、私はすっかり大人になってしまいましたが……本当に、どうして子供の頃に読まなかったのか非常に悔やまれる作品でした。
とても優しい物語。
読後、久しぶりに心が優しさで満たされました。
児童文学とはかくあるべしと言ってもいいような、お手本のよう。
大人になってから読んでも充分面白かったですし、むしろささくれ立った心にはとっても沁みました(^^;)

セドリックの聡明さと天真爛漫さがひたすら眩しくて微笑ましい。
なるほど確かに泰麒だな、とも(笑)
登場人物がほぼ全員いい人なのもホッとします。
とりわけ好きなのはホップス氏。最後の変わりっぷりが可笑しくて大好き。

ちょっぴり気になったのは、外見至上主義な雰囲気だった事くらいでしょうか。
書かれた時代が違うので、現代の価値観とのズレを感じた次第です。
やはり昔から“お姫様は当然美人”と言ったような、憧れや理想は変わらないものなんですね。

同じバーネットの『秘密の花園』も優しいお話でしたが、バーネット作品って全部そうなのかな。
これは近々『小公女』も読まなくては、と思いました!
posted by ミクロン at 19:00 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月19日

天下四国シリーズ 全4冊合本版

天下四国シリーズ 全4冊合本版(『天空の翼 地上の星』・『砂の城 風の姫』・『月の都 海の果て』・『雪の王 光の剣』)
著:中村ふみ(講談社X文庫)

【天空の翼 地上の星】
天下四国―この世は、峻険たる山々に囲まれた四つの国に分かれていた。南の王国「徐」の王太子・寿白は、革命の混乱のさなかに王の証「王玉」を得たが、徐国は倒れ、寿白も体内に王玉を留めたまま姿を消す。それから十年。かつて輝くほど聡明な少年王だった男は、飛牙と名乗るすれっからしに成り果てていた。天令の那兪は、飛牙の胸に眠る王玉を天へ返すよう迫るが……。極上の中華風ファンタジー、開幕!

【砂の城 風の姫】
天下四国―それは、天から授かりし四つの国。かつては徐国の王様だったが、今やすっかり風来坊の飛牙は、天令の那兪を連れ、代々女王が治める燕国へ。そこで偶然、家出中の名跡姫・甜湘と知り合い、なりゆきで飛牙は「胤」候補にされてしまう。胤とは未来の女王たる甜湘に、子を産ませるための制度上の夫のこと。しかも飛牙の前にいたという胤ふたりは、すでに不審死を遂げているらしく……。胸躍るシリーズ第二弾!

【月の都 海の果て】
天下四国は、天が王を定める東西南北の四つの国。南に位置する「徐」の元王様・飛牙は、天に帰れなくなった天令の那兪を連れて東の国「越」へ。正王后の立場にある自らの大叔母を頼っての入国だったが、現在の王家は瀕死の王のもと、同い年の王子二人が王位争いの真っ最中で、飛牙はまんまと巻き込まれてしまう。さらに折悪しく「屍蛾」と呼ばれる暗魅の大発生が重なり、越は未曾有の危機を迎えていた……。シリーズ第三弾!

【雪の王 光の剣】
天下四国は、天が王を定める東西南北の四つの国。元は南方徐国の王だった放浪者の飛牙は、最北の駕国へ足を踏み入れた。ところが鎖国を貫く駕では宰相の汀柳簡が権勢を振るっており、国王は傀儡と化し、国の守り手の天令・思思は枷で繋がれ監禁されていた。飛牙の相棒で落ちこぼれの天令・那兪は、同砲を救うために王城へ忍び込む。一方、宰相に目をつけられた飛牙も政変に巻き込まれ……。シリーズ第四弾!

「BOOK」データベースより

以前、Amazonで“小野不由美”と検索した際に検索結果にこの作品が出てきまして。
紹介文にはさほど惹かれなかったのですが、レビュー欄で、設定が十二国記に似ている云々とあり、ずっと気になっていました。
すると先般、電子書籍の合本版が40%オフのキャンペーンがあったので、思い切って購入してみました!
以下、4冊まとめての感想です。
ちょっと酷い感想ですので、作品がお好きな方はご注意下さいませ。

確かに設定は酷似していました。
これは同じ講談社なのにどうなのかなと思いましたが、今、十二国記は新潮社へ移ったからかな、なんて邪推してみたり。

しかし設定こそアレでしたが、中身は全くの別物でした。
いわゆる貴種流離譚で、シンプルな勧善懲悪モノ。
少女漫画にしたらとてもピッタリなのでは、と思いました。

ただ私とは相性が悪かったです。久しぶりに読むのがしんどい作品でした。
先が見えてしまうストーリーに淡白な描写、記号的な登場人物達とで、残念ながら魅力を感じられませんでした。

特に地文が非常に簡素で、小説と言うよりは台本のように感じました。
ライトノベルに偏見は持っていないとは思うのですが、いかにもラノベといった感じの作品は非常に苦手でして……。
過去、『魔術師オーフェン』シリーズに挫折した経験があります。
アニメ(古い方)が大好きで買った『我が呼び声に応えよ獣』はどうにか読みましたが……続編に手を出すことはありませんでした……。
友人に勧められたあかほりさとる作品(タイトル失念しました)も全然ダメでした。
大人になったからと言って、好みや得手不得手は変わらないようですね……。

それでも甜湘や瑞英、清墨は好きです。
特に甜湘は可愛らしくって、もう少し後の作品にも登場して欲しかったな〜。

と、すっかりこれで完結と思っていましたが、さっき確認したところ、完結編が来月発売との事。
どうしよう、ここまで読んだら最後の一冊は読んでおきたいような……うーん、悩みます……。
posted by ミクロン at 22:00 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月29日

忘却城 炎龍の宝玉

『炎龍の宝玉』
著:鈴森琴(創元推理文庫)

死者を蘇らせる術で発展した亀珈王国。儒艮が塾 を開くために買ったのは札付きの幽霊屋敷で、引っ越し早々怪奇現象が起きていた。そんな折、瀕死の炎龍が飛来し、王都は大混乱に。王国にとって炎龍は至高の存在。急邀、龍語を解する界人の儒艮が通訳に指名される。彼は大切な家族となった金魚小僧のため、ある目的を胸に、引き受けるが…。“忘却城”シリーズ第三巻。
「BOOK」データベースより

早くも第3巻。
今回は前2作よりも不気味さはやや控えめで、幕間なお話のような感じもしました。
儒艮と金魚小僧のその後が描かれていて嬉しかったです。

比和院は最高ですね!
是非とも幽冥塾に通いたいです!
何よりご飯が勝手に用意されているって……素晴らしいじゃないですか!!!
もう住みたいです。大熊猫もいますし(笑)
しかしそんなほのぼの(?)な日常でも、その後ろには真っ暗闇が常に控えており、その落差がなんとも素敵でした。

ついに忘却城の一端が垣間見えましたが……最高でした!
得体の知れない不気味さ。
もっと暗くおどろおどろしい地かと思っていましたが、意外にも明るく美しい佇まいで、余計に不気味さが際立ちました。
もっともっとあちこち探索して欲しかったと思わずにはいられません(笑)
しかし彼の城にいた飛雪殿下は本当に不憫です。
せめていつか、舞蒐のためにも、彼の本当の名前が判ることを願っています。

嬉嬉狐(静水の間諜の方)も風嵐影も紫雲英もとっても魅力的でした。
ヘウラ氏も元気そうで何より。
雪晶と嬉嬉狐の姫は不気味というより悲しかったです。
もう少し永らえていたら、金魚小僧と再会出来たのに……とか。

次作は金魚小僧が育児をしつつ緑鉄洞を目指すのかな。それとも王図の頭探し??
金魚小僧の成長譚も面白そうですし勿論読みたいですが、やっぱり不気味系になる事を期待しています(笑)
二十四大鬼とか、夢無鵡予言院とか、まだまだ気になるものがいっぱいです!
posted by ミクロン at 01:00 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月21日

自生の夢

自生の夢
著:飛浩隆(河出文庫)

天才詩人アリス・ウォンが謎の存在“忌字禍”に倒れた。その怪物を滅ぼすために、七十三人を言葉の力で殺害した稀代の殺人者が、いま召還される―星雲賞を受賞した表題作、同賞受賞の「海の指」他、全七編。最先端の想像力、五感に触れる官能性、現代SFが生んだ最高峰作品集。第38回日本SF大賞受賞。
「BOOK」データベースより

裏表紙の表題作の紹介に惹かれて購入。
この作者の作品は初めて読みました。
非常にインパクトがあって印象的な短編集でしたが、私にはやや難しかったような気も。
ちゃんと理解出来た気がしません(;゚д゚)
そんな程度の理解力の元、いくつか印象に残った作品をほんの少しだけ。

『海の指』
これはとっても面白かったです。映像で観てみたいと思った作品でした。
様々な時代・文化の建築物の融合した街並みに灰洋の不気味さ、そして〈海の指〉。
霧から様々な物を取り出せる、と言うのもどこか不気味でワクワクしました。
同じ舞台でもう何作か短編を読んでみたいです。

『星窓 remixed version』
いかにもSFな雰囲気で、どことなくR・ブラッドベリを彷彿とします。
この星窓がとっても素敵で、欲しくなりました。

『自生の夢』
この作品の紹介に、中島敦の『文字禍』を連想して面白そうだなって思って読んだのですが……残念ながらちょっと理解が及びませんでした(+_+)
一番大事な〈忌字禍〉を上手く想像できなくて。
面白いお話なのはぼんやり分かるのですが、どうもしっかり掴めない感じと言いますか。
もう少し時間をおいて、じっくり読み返してみたいと思います。

* * * * *

何時にも増して、とんでもなくしょうもない感想ばっかりで申し訳もございません……(゚д゚;)
posted by ミクロン at 22:00 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする