2016年11月10日

オーリエラントの魔道師たち

『オーリエラントの魔道師たち』
著:乾石智子(創元推理文庫)

注文を受けて粘土をこね、魔法を込めた焼き物に焼く「陶工魔道師」、女たちの密かな魔法組織を描く「闇を抱く」、死体を用いる姿なきプアダンの魔道師の復讐譚「黒蓮華」、そして魔道ならざる魔道を操るもうひとりの“夜の写本師”の物語「魔道写本師」。四つの異なる魔法を操る魔道師たちの物語を収録。単行本収録作の一篇をさしかえて贈る、著者の人気シリーズ初の短篇集文庫化。
「BOOK」データベースより


“オーリエラントの魔道師”シリーズ初の短編集。
これまた療養中の一冊です(汗)
ではざっくり2作だけ。

『陶工魔導師』
陶工魔導師ってとっても面白い設定でした!
魔導というより、もっと地に足が着いているような、不思議な現実味を感じました。
サッパリとした勧善懲悪なオチも良かったですが、ヴィクトゥルスが常にしれっとしていたのも面白かったです。にゃんこにした仕打ちを考えるとタモルスには全く同上の余地はありませんしね。

『闇を抱く』
これが一番面白かったかもしれません。
不遇な中でもしっかり強かに自分の思うように行動している彼女達は本当に素敵でした。
使う魔法も、死に至らしめるというものでもないですし。
しかし……カリナの舅の食事エピソードは恐ろしく現実的で心胆寒からしめるエピソードでした……。ご飯は安心して食べたい……!(爆)
ロタヤの“叛乱”は非常に恰好良かったです。
ゾーイもとってもイイ味出てましたし、それぞれがしっかり自分の足で歩んでいるのが素敵でした。

* * * * *

他の2作も面白かったのですが、上記2作がとっても印象に残ったので。
両作とももっと続きを読んでみたいです。
次の文庫化は来年との事ですが、とっても楽しみです!!
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2016年10月20日

金色機械

『金色機械』
著:恒川光太郎(文春文庫)

時は江戸。ある大遊廓の創業者・熊悟朗は、人が抱く殺意の有無を見抜くことができた。ある日熊悟朗は手で触れるだけで生物を殺せるという女性・遙香と出会う。謎の存在「金色様」に導かれてやってきたという遙香が熊悟朗に願ったこととは―? 壮大なスケールで人間の善悪を問う、著者新境地の江戸ファンタジー。
「BOOK」データベースより


こちらも自宅療養期間中に読んだ作品です。
……まだあと4〜5作あります……。

恒川氏も無条件で購入しちゃう作家のお一人です。勿論、文庫に限りますが(苦笑)
が、今作はちょっと分からなかったです……。
分からないと言いますか、私にはあまり合わないと言った方が正しいのかも。
面白くなくはないけれど、心に何も残りませんでした……。
時系列を組み替えた構成にした意味(効果)もあまり感じられなくて、淡々と進んで淡々と終わったような印象で……。
ファンタジーと言うにはちょっと違和感があるような……むしろSFって言う方がしっくりする気がします。

気になったのは、金色様。
やっぱりC-3POなのかな〜。
途中からすっかりC-3POのイメージになってしまったので、それが悪かったのかもしれません(笑)
C-3POで想像すると何だか可笑しくって。
でもあんまりお喋りな方ではないようですし、動きも機敏そうなので、より進化したC-3POなのかも。
むしろ金色様の生い立ち(?)の方が気になって気になって。
続編でも外伝でもいいので書いて頂きたいです!

どうでもいいですが、金色様の“金色”って“キンイロ”って読むんですね。
タイトル含めてずーっと“コンジキ”って読んでました。
この文章もずーっと“コンジキ”で変換してました……あらら。
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2016年10月08日

この闇と光

『この闇と光』
著:服部まゆみ(角川文庫)

森の奥に囚われた盲目の王女・レイアは、父王の愛と美しいドレスや花、物語に囲まれて育てられた……はずだった。ある日そのすべてが奪われ、混乱の中で明らかになったのは恐るべき事実で―。今まで信じていた世界そのものが、すべて虚構だったのか?随所に張りめぐらされた緻密な伏線と、予測不可能な本当の真相。幻想と現実が混ざり合い、迎えた衝撃の結末とは!?至上の美を誇るゴシックミステリ!
「BOOK」データベースより


はい、こちらも自宅療養期間中に読んだ作品です。
上記期間中に読んだ作品があと何冊かあるので、早く書いておかないと忘れてしまいそうなのに、この遅さ……(爆)

半年位前に本屋さんで平積みにされていて、大々的に宣伝されていたので、思わず購入。
正直、こちらの作家さんのお名前さえ知りませんでした……(汗)

結論から言うと、出版当時に読みたかった作品でした。
この作品自体がどうこうではなく、私が勝手に時機を逸した感がありました……非常に勿体なかったです!
今ではこの手の手法の作品が溢れていて、どうしても目新しさに欠けてしまって。
結末もそれほど予想外でもありませんでしたし……。
刊行当時(98年だそうです)だったら、ドキドキしながら読めたと思うんです。ああ勿体ない。

登場人物や心理描写などは翻訳小説のような趣もあり、ライトだけれど情感のある文章は落ち着きがあってとても読みやすかったです。ちょっと昔の日本文学っぽい感じと言うか。
ストーリーはこんな歳と時代なので上述の通りでしたが、細かな描写が美しく目の前に鮮明に浮かぶようでした。
長田弘氏の詩(?)がピッタリだな、と。
"人は、ことばを覚えて、幸福を失う。 そして、覚えたことばと おなじだけの悲しみを知る者になる。"
レイアは正に光を得て幸福を失い、悲しみも知って、そうしてもう二度と悲しみを知る以前と同じ幸福は得られない訳で。

久しぶりに鮮やかで印象に残る作品でした。
そうそう、乙一氏の『華歌』も思い出しました。氏の作品の中で一番大好きな短編なんですが、トリック(?)的に似たような感じに思えたのです。
やっぱり、何故もっと早くに読まなかったのか悔やまれます……!!

これを機に、他の作品も読んでみたくなりました!
本当に蛇足ですが、もう"王女・レイア"と言われたら……彼の惑星オルデランのお姫様が浮かんでしまって。わ、私だけではないハズ!!(笑)
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2016年09月29日

エチュード春一番 第一曲 小犬のプレリュード

『エチュード春一番 第一曲 小犬のプレリュード』
著:荻原規子(講談社タイガ)

「あなたの本当の目的というのは、もう一度人間になること?」大学生になる春、美綾の家に迷い込んできたパピヨンが「わしは八百万の神だ」と名乗る。はじめてのひとり暮らし、再会した旧友の過去の謎、事故死した同級生の幽霊騒動、ロッカーでの盗難事件。波乱続きの新生活、美綾は「人間の感覚を勉強中」の超現実主義の神様と噛み合わない会話をしながら自立していく―!
「BOOK」データベースより


これまた自宅療養期間中に読んだ作品です。
もう2巻が出ているらしく……月日が経つのって早いですねぇ……。

読んでいて妙に軽めのストーリーだったので、ちょっとビックリしまして。
あまりに先が読み易くて退屈に感じてしまいました。
分かり易い伏線とキャラクターで、読み進める分にはストレス無く読めましたが、もう少し色々と捻って欲しかったなぁ、というのが正直な感想です。
『RDG』もあまり熱中出来なかったので、やっぱり私の年齢的な問題が大きいのでしょう……(遠い目)
次巻からはその心構えで読んでみます!

智佳は有理(『樹上のゆりかご』)の現代版、彼女をよりリアルにしたような印象でした。
彼女には初っ端からイライラさせられて、美綾の妄信っぷりにも更にイライラ……(爆)
何となく加納朋子の“駒子シリーズ”の宇佐美さんも思い出しました。宇佐美さんの方は堂々としていて好きですが(笑)
割とよく出てくるタイプのキャラなので、意外性が全く無かったのが残念です。
泉水子(『RDG』)にはあまり苛々しなかったのに、美綾は結構イライラしちゃいます……。

何となく『樹上のゆりかご』を現代的&若年層向けにアレンジしたような印象です。
『樹上のゆりかご』と『RDG』を足して割った、の方が近いかな。
そもそもこの"講談社タイガ"ってレーベルも知らなったのですが、若年層向けだったんですね。知りませんでした。ライトノベルとはまた違うのかな??
最近は新しいレーベルも多くて、ますます本棚の統一性が失われて行きますね(苦笑)
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2016年09月21日

さくら聖・咲く 佐倉聖の事件簿

『さくら聖・咲く 佐倉聖の事件簿』
著:畠中恵(新潮文庫)

弟を養うためサラリーマンになる!そう決意した大学三年の佐倉聖。元政治家、大堂の下で事務員をしているが、コネ採用はお断りだ。事務所がらみの難問は鮮やかに解決する聖も、就職活動では悪戦苦闘。面接先の広告代理店では事件に遭遇、商社ではインターンシップを突然クビに。奮闘する聖の元に、身に覚えのない五通の内定通知が届く――。爽快感あふれる青春ユーモア・ミステリー。
「BOOK」データベースより


これまた自宅療養期間中に読んだ1冊です。
でもこの辺りからは割と最近の作品です。

前作をものの見事に忘れ去っていました。
今作を読んでいても、あまり前作を思い出せなくて。
憶えてたのは人間関係位。
面白かった、という印象はぼんやり残っているのですが……(汗)

それにしても、今作は現在就活中の方々が読んだら、さぞ立腹モノだろうなぁと思わずにはいられませんでした。
コネでも何でも選択肢がこれほどあるのは恵まれているんじゃないかと思います。
なので、あまり聖に共感が出来ず。ちょっと贅沢なお悩みな気がしまして(笑)

それでも連作の短編集のような構成なので、テンポも軽快で結末もそれぞれでハッキリ着くので楽しんで読めました。
拓が大きくなって、真っ当な子に成長していたのは嬉しかったです。聖の苦労が報われているんだなぁ、と。
他の面々は相変わらずの賑やかさで微笑ましかったですし。……誰だっけ、な方もいましたが(爆)

この作品を読むと議員事務所ってハードだけど楽しそうな職場だな〜って思えてきちゃいますが、もう少し実際の業務の様子もあると嬉しかったです。……あ、もしかして前作で描かれてたのかな??
そのうち再読しよ……。
posted by ミクロン at 21:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする