2018年05月04日

なりたい

『なりたい』
著:畠中恵(新潮文庫)

誰もがみんな、心に願いを秘めている。空を飛んでみたくて、妖になりたいという変わり者。お菓子を作りたいがため、人になりたがる神様。弟を思うがゆえ、猫に転生した兄。そして、どうしても子を育てる親になりたい女――。それぞれの切実な「なりたい」を叶えるために起きた騒動と、巻き込まれた若だんなの本当の望みは?願いをめぐる五つの物語がつまった「しゃばけ」シリーズ第14弾。
「BOOK」データベースより


読んだのは今年の始め頃ですので、随分経ってしまいました……。
もう新刊を買うのも読むのも追いついていない今日この頃です。
『うずら大名』も積読中です……(>_<;)
そして本屋には『まったなし』も並んでおりました……うぅ。

気を取り直して、少しだけ感想を。

今巻には、『序』と『終』、そして5編の短編で構成されていましたが、やはり一番印象に残ったのは『終』でした。
以前の『えどさがし』に通ずるお話で、寂寥感の漂う締め括り。
いつか必ず来る別れと、その先にある少しの希望と。
その続きは『えどさがし』でわずかに描かれていましたが、“今”の若だんなを思うとやっぱり複雑で。

このシリーズの結末を考えさせられる一冊でもありました。
やはり若だんなと妖達の別離まで書ききるのかな??
最近はややマンネリと言うか、惰性で続いているような気もしてきているので、そろそろ結末を読みたい気もします。
が、もっと読み続けたい気持ちもあるので、なんとも複雑な気分です……(^_^;)

……ホントに少しの感想でした(*_*)
posted by ミクロン at 23:00 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月30日

冬虫夏草

『冬虫夏草』
著:梨木香歩(新潮文庫)

亡き友の家を守る物書き、綿貫征四郎。姿を消した忠犬ゴローを探すため、鈴鹿の山中へ旅に出た彼は、道道で印象深い邂逅を経験する。河童の少年。秋の花実。異郷から来た老女。天狗。お産で命を落とした若妻。荘厳な滝。赤竜の化身。宿を営むイワナの夫婦。人間と精たちとがともに暮らす清澄な山で、果たして再びゴローに会えるのか。『家守綺譚』の主人公による、ささやかで豊饒な冒険譚。
「BOOK」データベースより


『家守綺譚』の続編。
今回は高堂の家を離れ、ゴローを探しに。
ファンタジックなロードムービーのような内容でした。

全体的に靄に包まれたような柔らかで優しく、どことなく切ない雰囲気は相変わらず。
そしてほんの少しの不気味さも。

河童が可愛らしくも切なかったです。
イワナの宿屋も、どことなく不気味さがありつつ、でも何となく可笑しみもあって。
特に大きな起伏のあるストーリーではなく、むしろ淡々と進むのですが、その独特な雰囲気が癖になり引き込まれます。

ただ気になるのは高堂の存在。
今後どうなってしまうんでしょう。
このまま、というのも遣る瀬無い気がします。
けれどハッキリとした結末を明示するのも、このシリーズではちょっと違うかな、という気もしたり。
でもちゃんと完結もして欲しい……うーん、難しい。

ラストのゴローとの再会はとてもホッとし、安心感がありました。
戻ってきて本当に良かった。

もっとずっと読んでいたい、そう思える作品でした。

それにしても……感想書かずに放置しているのがまだ何冊もあるのですが、そろそろ記憶が怪しくなりそうです……(焦)
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2018年04月25日

シャーロック・ホームズ対伊藤博文

『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』
著:松岡圭祐(講談社文庫)

シャーロック・ホームズが現実の歴史に溶けこんだ。いかに彼は目撃者のいないライヘンバッハの滝の死闘で、モリアーティ教授への正当防衛を立証し、社会復帰しえたのか。日本で実際に起きた大津事件の謎に挑み、伊藤博文と逢着する。聖典のあらゆる矛盾が解消され論証される、20世紀以来最高のホームズ物語。
「BOOK」データベースより


懲りずにホームズ・パスティーシュです。
パスティーシュでお馴染みの空白期間モノ。
読了は昨年なので、ちょっと記憶が朧げになりつつありますが……(汗)

『絹の家』は雰囲気がとっても正典に近く感じましたが、こちらは事件が正典っぽい印象です。

今回は日本が舞台。
T・リカーディの『東洋の冒険』も、タイトルそのままに東洋が舞台でしたが、こちらは日本のみ。
国家間の思惑が交錯する中、ワトスン君の代わりに伊藤博文を従えて、いざこざが顕在化すること無く解決、といった所。
ちょっと大仰すぎる事件な気もしましたが、上手く歴史に絡めてあったので良かったのではないでしょうか。
ただ、全体的にちょっと日本及び日本人を美化(礼賛?)し過ぎに感じて、どうにも白けてしまったりもしました。

ホームズがどうも情緒的に過ぎるような感も。
勝手の違う異国で一人きりだからそうなってしまった……と受け取れなくもないですが、。
マイクロフトとの関係もどうもしっくり来ませんでした。
人間味が強くて決して悪くはないんですけれども、ホームズとしては若干の違和感が拭えませんでした。

でも最後のワトスン君との再会は良かったです。
『三人ガリデブ』っぽくてじんわりと感動的。
そしてワトスン君の“バリツ”の執筆風景は笑いました。
正典の矛盾等はワトスン君の責任とする事も多いですが、今回も……(笑)

余談ですが、モリアーティ教授の兄弟(大佐の方)って、てっきり兄だったと記憶していたのですが、実際はどちらとも明言されていないんですね!
これは知りませんでした……。
ずっと兄だと思い込んでいて疑いもしなかったもので、勉強になりました。

全体的には気軽に読めて楽しかったです♪
posted by ミクロン at 23:00 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月17日

沈黙の書

『沈黙の書』
著:乾石智子(創元推理文庫)

火の時代、絶望の時代が近づいている。戦が始まる。穏やかな日々は吹き払われ、人々は踏み潰される。予言者が火の時代と呼んだそのさなか、いまだ無垢である“風森村”に、“風の息子”は生をうけた。だが、“長い影の男”がやってきたときすべてが変わった。天と地のあいだ、オルリアエントの黎明の時代を描く、大人気ファンタジー“オーリエラントの魔道師”シリーズ始まりの書。
「BOOK」データベースより


なかなか感想を書くのが追い付かなくて……読んだのはもう半年位前になってしまいました。
が、感想書き待ちの本がまだ何冊かあったりします……(゚゚;)

気を取り直して。
以前シリーズ全巻読み直したので、今回はバッチリ☆と思って意気込んで読みました。

にも関わらずちょっと自信がないのですが……ヒアルシュって、後のキアルスなんですよね??(爆)
どの人生も壮絶で、ちょっと不憫な気が……。
暗樹との因縁はヒアルシュの時からあったのですねぇ。

セグナ女神の像が薄気味悪くてツボでした。
“オーリエラント”の意味も明かされたり、珍しく読後感が希望に満ちたものでした。
『言葉の満てる大地』とは何て素敵な世界だろう、と。
しかしてっきり“オーリエラント”は“オリエント”のもじりだろうと、安直に思っていた自分が情けないです、はい。

これまでのシリーズの一番初めの物語との事ですが、文庫版では現在のところ『夜の写本師』が時系列として一番新しい物語、になるんですよね。
となると、このシリーズの着地点はどこなんだろうと、ふと思いました。
まだまだ読み続けたいけれど、結末も気になる。
悩ましい問題です。
とにもかくにも、早く次作を読みたいなぁ。
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2018年01月26日

永遠の森 博物館惑星

『永遠の森 博物館惑星』
著:菅 浩江(ハヤカワ文庫JA)

地球の衛星軌道上に浮かぶ巨大博物館“アフロディーテ”。そこには全世界のありとあらゆる芸術品が収められ、データベース・コンピュータに直接接続した学芸員たちが、分析鑑定を通して美の追究に勤しんでいた。総合管轄部署の田代孝弘は、日々搬入されるいわく付きの物品に対処するなかで、芸術にこめられた人びとの想いに触れていく……。優しさと切なさの名手が描く、美をめぐる9つの物語。日本推理作家協会賞受賞作。
「BOOK」データベースより


タイトルと設定に惹かれて購入。
初めての作家さんでした。

全体的に惜しかったです。
雰囲気は綺麗ですが、焦点が絞りきれず全体像がぼやけてしまったような。
惑星1つが丸々博物館だなんて、一体どんな素敵な美術品やら絵画やらが出てくるんだろうとワクワクしていたのですが……そういった方面はあまりなく。
主に学芸員と、彼らに接続されたシステムのお話でした。あと博物館と美術品の管理システムかな。

主人公の愚痴が非常に多いのが疲れました。
上司の愚痴を零すわりに、その上司についてのエピソードも説得力に乏しいものばかりなので、ただ過剰な愚痴を聞かされ続けるのにはなんとも辟易しました。
全体的なオチへの伏線でもあったのですが(伏線と呼ぶにはやや物足りなくもありますが)奥さんへの態度も非常に不快で疲れたのでした……。

ただ、とっても共感出来た部分もありました。
素直に感動する事の素晴らしさ。
おそらくこの作品の主題だったのかな、と思います。
何より手放したくない感性ですが、歳とともに鈍磨していくのを痛感している今日この頃です。
単純に“綺麗だな”・“面白いな”とは思うものの、直後には“どうしてそう思ったのか”とアレコレ原因を考えてしまいます。
『○○が△△だから面白かったんだな〜』というような……。
しかし……凡人の私でさえ随分前から危機感を抱いていたというのに、これほど優秀とされている主人公が、今の今までそんな単純な事に気付かないっていうのも何だかなぁ、と思ったり。

設定はとっても魅力的でしたが、色々と活かしきれていないように感じました。惜しい……。
でも懲りずに別の作品も少し読んでみたくなりました。
posted by ミクロン at 01:00 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする