2017年01月15日

すえずえ

『すえずえ』
著:畠中恵(新潮文庫)

若だんなの許嫁が、ついに決まる!?幼なじみの栄吉の恋に、長崎屋の危機…騒動を経て次第に将来を意識しはじめる若だんな。そんな中、仁吉と佐助は、若だんなの嫁取りを心配した祖母のおぎん様から重大な決断を迫られる。千年以上生きる妖に比べ、人の寿命は短い。ずっと一緒にいるために皆が出した結論は。謎解きもたっぷり、一太郎と妖たちの新たな未来が開けるシリーズ第13弾。
「BOOK」データベースより


しゃばけシリーズ文庫新刊です。
今作もいつもと変わらず安心して読めました。
それぞれ少しずつ。

『栄吉の来年』
栄吉は若だんなと良い対比だな〜、と思います。
菓子修行に出たり、許嫁が出来たり。
でも、それもまだもう少し先の話、と言うのがわずかながら救いな気がします。

『寛朝の明日』
猫達が可愛い!!
もう猫に目がないんです。猫アレルギーにも関わらず。
俄然、踊場駅行ってみたくなりました!!

『おたえの、とこしえ』
おたえの心情はとってもよく分かります。
いつまでも同じ日常が続いて欲しい、という。
でもそれって、続かないって知ってるから、分かっているから思うんですよね……。

『仁吉と佐助の千年』
今巻ではこのお話が一番好きです。
若だんなの許嫁、以前登場したかなめの存在が忘れ難くて、でも現在では出会ってもいないので、どうなるんだろうと思っていましたが……成程、円満な解決方法で来ましたねぇ。
於りんちゃんも勿論いいですけれど、ちょっと切ない気もします。
そして仁吉の出した答え。
こちらは既刊の『えどさがし』でその後が描かれていましたが、あの『えどさがし』はもう、しゃばけシリーズで一番切なくて一番好きな話です。
仁吉も佐助も妖達も、どこまで若だんなを待つんだろうって。
おぎんはどこで諦めが付いたんだろう。鈴君と夫婦になれたから、それ以後は諦められたのかな。
その辺り、いつか読みたいなぁ。

『妖達の来月』
こちらもまたなんともやるせないお話でした。
夢があっていいな、と思う反面、現実的ではないと思ってしまったり。
永続的に何かを所有する、というのは非常に難しいだろうな、と思うので。
でも、これまで“自分の物”を何一つ持たなかった彼らは、そんな事は分かり切っているんでしょうね。
そこがまた切ないな〜って。妖達のはしゃぎっぷりが可愛らしい分、尚更。
山童は少しだけ狐者異(こわい)に似ているなと思いました。
可哀想だけれど、どうにもしてやれない所も。

* * * * *

今巻は、将来へ思いを巡らせ一歩踏み出す巻でした。
ほんの少しずつ未来へ向かって変化していくのは淋しくも切なくもあります。
この無常感が畠中氏の持ち味でもあるのですが、たまには能天気で他愛もない妖達との日常を読んでみたくなります。

……“切ない”連発し過ぎですね。語彙力が欲しい……。
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2017年01月11日

ハリー・ポッターと呪いの子 第一部・第二部 特別リハーサル版

『ハリー・ポッターと呪いの子 第一部・第二部 特別リハーサル版』
著:J.K.ローリング/ジョン・ティファニー&ジャック・ソーン
訳:松岡祐子(静山社)

8番目の物語。19年後。『ハリー・ポッターと死の秘宝』での戦いから19年が経ち、父親となったハリーが2人目の子どもをホグワーツ魔法学校へと送り出したその後の物語です。ハリー・ポッターとして生きるのはもちろんたいへんなことだったのですが、その後のハリーも決して楽ではありません。今やハリーは、夫として、また3人の子を持つ父親として、魔法省の激務に押しつぶされそうな日々をすごしています。ハリーがすでにけりをつけたはずの過去と取り組まなければならない一方、次男のアルバスは、望んでもいない“ハリー一家の伝説”という重圧と戦わなければなりません。過去と現実は不吉にからみあい、父も子も痛い真実を知ることになります。
「BOOK」データベースより


やっと読めました〜!
ハリポタシリーズ新刊。脚本ではありますが。
正直なところ、ハリポタシリーズは好きですが、大好きって程ではないのです(爆)
とはいえ、かつては原作は全巻所持していましたし、映画版は全て劇場で観ている程度には好きなシリーズです。『ファンタビ』も観たいな〜とは思ってはいるのですが……なかなか(>_<)
とまぁ、そんな程度のファンです。
しかしながら今作は非常に面白かったです!!
これまでのハリポタシリーズは全て手放してしまったので、設定等の記憶が結構あやふやだったりしてますが、ザッと感想を。

やっぱり彼らのその後を知る事が出来たのが非常に嬉しかったです。
皆ある程度丸くなりはしたものの、基本的にはあまり変わらないのですが、ロンの変わらなさにはホッとさせられました(笑)
ドラコとジニーが一番大人になって落ち着いたような印象。
かつてのシリーズではハリー以外の人物の心理描写ってあまり無かった気がするので、今作ではドラコの好感度が非常に上がりました。
前7作では割と単純な行動原理しか描写されていなかった(と、記憶しています)ので、人物像にあまり厚みを感じられなかったのです。ごく定番の、主人公に対する悪役って程度で。
ですが今作でようやく彼の内面の一部が理解できたような気がします。
逆転時計の件は非常に感慨深いシーンでした。
しかし……アストリアって……どんな人でしたっけ……??(爆)

そしていくつもの“もしも”の未来。
これらも種々多様で面白かったです。
中でも一番切なかったのは、ネビルがナギニを殺せなかった世界の未来。
ハーマイオニーがやたらカッコイイし、ロンとの最後も、スネイプの最後の台詞も、どちらもとっても切なかったけれど、素敵でもありました。

今回はセドリックがキーパーソンなのですが、彼は人気があったのかな??
ヴォルデモートに殺害されたって以外にあまり印象に残っていなかったもので……(汗)
それでもアルバスとスコーピウスが彼と別れるシーンはやりきれないものでした。

新キャラではスコーピウスが非常にイイです。
アルバスはハリーそっくりで、ちょっと好きになれなかった分、余計に。
真っ当な子(笑)で非常に好感が持てました。むしろ主人公だと思います。
ローズに対するポジティブさもイイ!!
よくドラコの子がこんなに素敵に育ったなぁ、と思ってしまいましたが、アストリアのお陰かな。ドラコ自身の成長も。
そう思うとますますアストリアが気になるなぁ。
後日発売になるらしい愛蔵版では是非そのあたりも加筆をお願いしたいところです!!

そうそう、ホグワーツ特急の車内販売魔女が非常〜に良かったです!
何あれ、怖いわ〜(笑)
映画とかでは普通だっただけに、余計にインパクトがありましたね。もう少し詳しく読みたかったなぁ。

こんなに面白い続編なのに、決して映画化出来ないネタというのも凄いですね。勿体ない!
勿論、キャスト総とっかえなら可能ですが、それはさすがにハリポタファンが許さないでしょうし(笑)
これを読んだら、やっぱり何としても『ファンタビ』は観に行かなきゃ! という気になりました!
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2016年12月24日

本格小説

『本格小説 上・下』
著:水村美苗(新潮文庫)

【上巻】
ニューヨークで、運転手から実力で大金持ちとなった伝説の男・東太郎の過去を、祐介は偶然知ることとなる。伯父の継子として大陸から引き上げてきた太郎の、隣家の恵まれた娘・よう子への思慕。その幼い恋が、その後何十年にもわたって、没落していくある一族を呪縛していくとは。まだ優雅な階級社会が残っていた昭和の軽井沢を舞台に、陰翳豊かに展開する、大ロマンの行方は。

【下巻】
生涯の恋に破れ、陰惨なまなざしのままアメリカに渡った東太郎。再び日本に現れた時には大富豪となっていた彼の出現で、よう子の、そして三枝家の、絵のように美しく完結した平穏な日々が少しずつひずんで行く。その様を淡々と語る冨美子との邂逅も、祐介にとってはもはや運命だったような……。数十年にわたる想いが帰結する、悲劇の日。静かで深い感動が心を満たす超恋愛小説。
「BOOK」データベースより


まだまだ療養期間中の一冊。
かれこれ半年近く経っているので、感想も忘れてしまいそう……(汗)

凄く面白いとも言えず、かといってつまらないとも言えない微妙な作品でした。
何年も前に購入して以来、積読のままだったのですが、折角の機会という事で一気読み。

何と言うか……ストーリー自体は単純で、ごくありきたりなお話に感じました。
が、読ませる力が凄かったです。取り立てて文章が巧いという風には感じられませんでしたが、読ませる。
恩田陸氏の登場人物の会話のような、とりとめのない会話でも充分に面白い書き方、と言いますか。
地文そのものが飽きの来ない読み味でした。なので大半は苦も無く読めました。
序盤はダメでしたが(爆)
特に“本格小説が始まる前の長い長い話”という章。
冗長過ぎると言うか、読後も果たしてこの章が必要だったのかが疑問でした。
ようやく面白くなってきたな、と思えたのが“小田急線”から(笑)
でも投げ出さずに辿り着いたのは、やっぱり文章が魅力的だったから……かなと。

登場人物がイマイチだったかな、とは思いました。
もう少しそれぞれの心理描写が欲しかった気がします。
東太郎なんて主要人物なのに、正直薄気味悪い印象しか残らなかった……(爆)
妄執に囚われていると言うか、狂信的と言うか……。
この辺りは『嵐が丘』を読めって事でしょうかね。恥ずかしながら未読なのです……(>_<;)

読み味は昔の日本文学を彷彿とさせるものでした。
さほど面白いとは思えなかったのですが、妙に印象に残った作品です。
何年かしたらまた読んでみたくなりそうな、そんな感じです。
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2016年11月30日

死神の浮力

『死神の浮力』
著:伊坂幸太郎(文春文庫)

娘を殺された山野辺夫妻は、逮捕されながら無罪判決を受けた犯人の本城への復讐を計画していた。そこへ人間の死の可否を判定する“死神”の千葉がやってきた。千葉は夫妻と共に本城を追うが―。展開の読めないエンターテインメントでありながら、死に対峙した人間の弱さと強さを浮き彫りにする傑作長編。
「BOOK」データベースより


はい、こちらも療養期間中の一冊。
療養期間シリーズも残すところあと2冊です!!(笑)

前作『死神の精度』から随分経っての今作でしたので、結構忘れている設定もありましたが、概ね不自由なく読めたと思います。

長編なので、結構期待していたのですが……うーん、今作はちょっと私には合いませんでした……。
娘を誘拐の上殺害、というシリアスな設定に例の死神・千葉さんがやって来る……と言うのが違和感と言いますか、ちぐはぐ感がありまして。
描写はリアルで息苦しさがあり、重さもあって良かったのですが、その分、千葉さんが浮いてしまって……あ、“浮力”だからこれはこれでいいのかな??(爆)
本城に対するオチはとっても胸がすくものではありましたが、ちょっと非現実的過ぎて……。
千葉さんの存在自体が非現実そのものではあるのですが。
もう少し、リアルかファンタジーか、どちらかに寄せていてくれたら受け入れやすかったのかも。山野辺夫妻の心情がリアルだからこその違和感だったように思います。
そうして、そのチグハグ感が最後まで拭えなかったためか、途中で若干退屈さも感じてしまいました。

しかし山野辺父には胸を打たれました。

「俺は、そのことに気づいて、愕然としたんだ。愛おしい子供もいつか死ぬだなんて、そのことをまともに受け止められる親なんて、ほとんどいないはずだ」

もうこの台詞は泣きそうでした。
そして、山野辺父の恐怖の根源を理解出来た台詞でもありました。

「先に行って、怖くないことを確かめてくるよ」

この台詞にも胸を打たれました。
なんて優しくて温かくて、深い言葉なんだろうって。
山野辺父が非常に印象的な作品でした。
この心情は恐らく作者本人の心情なんでしょうね。
この二つの台詞の為だけに、読んで良かったと思えた作品でもありました。

あと、エピローグはとっても素敵でした。
これはとっても伊坂作品らしい、エピローグでした。
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2016年11月25日

ガソリン生活

『ガソリン生活』
著:伊坂幸太郎(朝日文庫)

のんきな兄・良夫と聡明な弟・亨がドライブ中に乗せた女優が翌日急死!パパラッチ、いじめ、恐喝など一家は更なる謎に巻き込まれ…!?車同士がおしゃべりする唯一無二の世界で繰り広げられる、仲良し家族の冒険譚!愛すべきオフビート長編ミステリー。
「BOOK」データベースより


こちらは入院中に読んだ作品。
日がな一日寝ているだけなのに気持ちが悪くて本も読めない、というのは非常に無駄な時間に感じて苦痛でした。
その反動が出たせいか、とっても面白く読めました(爆)

とにかく緑デミ(ミドデミ)が可愛くて可愛くて!!
車買うなら緑デミにしようと決めました!(今現在そんな予定はありませんが……笑)
とにかく車達が可愛らしいんですよねぇ。
事故を起こすとショックを受けるとか、いつかは廃車にされる事を分かっているとか、所有者に肩入れしてしまうとか。
そんな風に思われてるって知ったら、ドライバーも慎重に運転するんじゃないかな。
あと、電車を尊敬してたり、自転車とは話せなかったり。
とにかく可愛くって、もうこの作品を読んだ人は車買い換えられないんじゃないかなって思いましたね。
少なくとも私は一生買い換えられなくなりそう……(笑)

肝心のストーリー自体は、いつもの伊坂氏らしい優しさと非現実さの溢れるミステリーでした。
……はて、ミステリー分類でいいのかな?? まあ何でもいいや。
細見氏はカッコイイし、玉田氏も何だかんだ言ってイイ人だし。
亨が非常にいいキャラで、兄との掛け合いが微笑ましかったです。良いバランスでした。
正直結構な分量なので、途中で中だるみとかしちゃうかな〜、と危惧していたのですが全く大丈夫でした。
テンポが良いのと、車達が可愛いのとでサラッと読めました。
これまでの伊坂作品とのリンクも少しだけあって、ニヤニヤしたりも出来ました(笑)

とにかくラストにグッときました。
物凄いハッピーエンドで。
緑デミ良かったねぇって(涙)
こんなハッキリとしたハッピーエンドも久しぶりに読んだ気がします。
幸せ一杯の読後感を味わえました♪
posted by ミクロン at 20:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする