2020年12月29日

むすびつき

『むすびつき』
著:畠中恵(新潮文庫)

若だんなは、前世でどんな人だった?若に会いたい、とつぶやく玉の付喪神。見覚えがあるという貧乏神の金次は、合戦の時代に出会った“若長”のことを語り始める。鈴彦姫は、縁のある神社の宮司が、一太郎に生まれ変わったのでは、と推理する。さらに、三百年前に前世の若だんなに惚れていたという麗しい鬼女まで現れ―。輪廻転生をめぐる全5話を収録、人と妖との絆が胸に沁みる第17弾。
「BOOK」データベースより

もうそろそろ見切ろうかな、と思ってはいるものの、ついつい文庫新刊が出ると買ってしまいます。
いっそのこと電子書籍に切り替えようかな、と思ってはいるものの、なかなかその踏ん切りもつかず。
読めば面白いですし、何より“年末年始にのんびり読む本”と化しているので……(笑)

そう、読むと面白いんですよね。
今回は『こわいものなし』がとても好みでした。
夕助の輪廻転生が可笑しいような、哀れなような、何とも複雑で。

ただ、今作はちょっとまとめきれていない印象です。
焦点が曖昧なのか、要素を詰め込み過ぎなのか。
特に『くわれる』は酷く散漫に感じました。
もみじ・青刃のエピソードと栄吉のエピソードは一緒にしなくとも良かったのでは……。
結果どちらも焦点が定まらず、浅くなってしまっているように思いました。
どちらもそれぞれで十分面白くなりそうだったので、非常に勿体ないかな、と。

シリーズとしては……進みも戻りもせず、といった感じでしょうか。
そろそろ着地点が気になるところです。
posted by ミクロン at 02:00 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月19日

青の王 ナルマーン年代記

『青の王 ナルマーン年代記』
著:廣嶋玲子(Kindle版)

砂漠に咲く奇跡の都ナルマーン。王宮の上空では翼をもつ魔族が飛び交い、豊かな水をたたえた池の中には魚や竜の姿をした魔族が泳ぐ。ナルマーンの王は神に選ばれ、魔族を操る力を授けられたのだ……。そんなナルマーンに住む孤児の少年ハルーンが出会ったのは、不思議な塔に閉じ込められたひとりの少女だった。ハルーンは、自分の名前も知らないというその謎めいた少女を助けて塔を脱出する。だが彼らのあとを、魔族が、そしてナルマーン軍が追いかけてきたのだ!
「BOOK」データベースより

こちらもKindle Unlimitedにておすすめに出てきたので。

とっても面白かったです!
何で文庫化していないのか不思議でなりません。
文庫化されたら絶対買うのに……!!

分類としては恐らく児童書なのだと思いますが、とにかく完成度が高くて、過不足なくキッチリまとまっています。
ハルーンもファラも屈託がなく可愛らしいし、面倒見の良いアバンザも大好きです。
幸いの虫は捻り潰したくなる程憎たらしかったですが、成長しちゃうとそれはそれで淋しかったり……(笑)
でも一番のお気に入りはカヌールです。
捨てられた時には涙ぐみそうになったほど。とっても可愛らしいんですもの!!

笑わぬ顔やその内部もとっても美しくて素敵で。
ここの件はもっともっと読みたかったです。

挿絵も美しくて、やっぱりこういう作品は紙の本で読みたいなとしみじみ思いました。

唯一気になったのは、児童書にしてはちょっと王子達の最期の描写が残酷だった事でしょうか。
個人的には清々しましたが(爆)これも時流なのでしょうか、最近の子供向けの作品はちょっと残酷描写が過剰な気がします。
一般書だったら全く問題無いレベルですけれど、児童書とかではどうなのかなと、時々思います。

ともあれこんな素敵な作品をすすめてくれたAmazonに感謝で一杯です(笑)
続編もあるようなので非常に読みたいです!!
どうかシリーズ全部文庫化して頂けませんかね……(>_<)
posted by ミクロン at 19:00 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月14日

宝石鳥

『宝石鳥』
著:鴇澤亜妃子

神の遣いである宝石鳥の子孫が治めるシリーシャ島。島を訪れた植物学者と恋に落ちた女王は、その身を二つに分け、半身を島に残し、自らは恋人と海を渡った。だが身を二つに分けるなど所詮無理なこと、女王は一枚の肖像画を遺して消えてしまう。そして百年後、島では新たな女王即位の儀式が迫っていた……。不思議な力を持つ仮面の女、女王の魂を引き継ぐ儀式、喪われた半身。第二回創元ファンタジイ新人賞受賞、死と再生の傑作ファンタジィ。
「BOOK」データベースより

Kindle Unlimitedのお試しのお知らせがあり、3ヶ月で99円と言う破格ぶりでしたので、即座にポチリ。
そのおすすめに出てきたのがこちらの作品で、紹介を読むと確かに私の好みに近いかも……と早速読んでみました。

面白かったです。
テンポも良いですし、何より情景描写が豊かで素敵でした。南の島のリゾートへ行きたくなりました!

一つ一つのエピソードがしっかりしており、どれか一つでも別のお話になりそうなほど。
花守の話ももっと聞きたかったです。

宝石鳥の伝説がとっても素敵でした。
アイリアノスの庭園やシリーシャ島のお祭りの色鮮やさは、是非とも映像で見てみたいです。
他の世界も凄〜く気になりますし。

ちょっと引っかかったのは、世界観の微妙さでしょうか。
全体的に世界観の説明が不足していたのが勿体ないです。
現実世界と地続きの世界を表現したかったのだろうかと思うのですが、あまりに読者任せになってしまっていたと思います。
シオラが真狩を指して「東方風の顔立ち」と思ったあたり、やはり人種的な違いや、西洋・東洋の概念もある世界なんだと分かりましたが……。他にも西暦を使用していたり。
シリーシャ島は架空の島(または国)で勿論良いのですが、石蓮やアイリアノスは日本やヨーロッパの実在都市のどこかで良かったのでは、と。せめて一度でも「日本の〜」や「ヨーロッパ近郊の〜」との言及があれば違和感を抱かずすんなり入り込めたのですけれど。

あと、非常にしょうもない事ですが……手の骨はちょっとどうなのかなって……。
荼毘に付したらそんなに完全には残らないですよね。まさか骨格標本のように加工したのかな、とか……。
ミステリーやホラーも好きなので、ついついそっち方面が気になってしまうのでした(^^;)

でも上述の部分以外はほとんどマイナスのない作品で楽しめました。
Amazonのおすすめって凄いな〜と感心していたら、続いて出てきたおすすめが『飢え渇く神の地』。
お、同じ作者だったんですね……気づきませんでした……(*_*)
でも確かに世界観の曖昧さも、登場人物が全員いい人なのも、映像で見たいと思うのも同じ……!!
こうなったら、次作も読んでみたいと思います!
posted by ミクロン at 21:00 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月24日

王都の落伍者−ソナンと空人1−

『王都の落伍者−ソナンと空人1−』
著:沢村凜(新潮文庫)

名将軍のひとり息子として生を享けながら、退廃した生活に甘んじる青年・ソナン。自らの悪事が発端で死に瀕するが、朱く長い髪をもつ神・空鬼のたった一度の気まぐれで、名も知らぬ異国へと落とされる。しかし、その地・弓貴では古来からの統治者が反逆者に追いつめられ、全員で討ち死にしようとしていた――。終わったはずの人生から物語が動き出す。執筆4年、1800枚の傑作ファンタジー。
「BOOK」データベースより

随分前に『黄金の王 白銀の王』を読んで以来、ずっと気になっていた作家さん。
本屋で平積みになっているのを見掛けて、ファンタジー作品という事で思わず購入。でも慎重に1巻だけ。

全4巻との事なので、1巻目は恐らく導入部と思われました。
空人の周りの地固めが完了し、次巻以降からどういった方向へ向かうのかが描かれるのかと思われました。
なので2巻を読まねば何とも言えない感じです。

弓貴の雰囲気はとても静謐で美しくて素敵です。
ただ、空人の元の国(世界?)も今後絡んできて欲しいところ。
ナーツの家族がどうなったかも気になりますし、何より空人自身があまりに中途半端でしたので……。

七の姫がどういう人物かとか、星人の動向も気になりはするのですが……ちょっと2巻を買うのは考え中です。
posted by ミクロン at 22:00 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月14日

無貌の神

『無貌の神』
著:恒川光太郎(角川文庫)

この世ならざる和風情緒が漂う表題作ほか、流罪人に青天狗の仮面を届けた男が耳にした後日談、死神に魅入られた少女による七十七人殺しの顛末、人語を話す囚われの獣の数奇な運命…暴力と不条理にあふれた世界に生きるやるせなさを幻想的にあぶり出す、大人のための暗黒童話全六篇!
「BOOK」データベースより

久しぶりの恒川光太郎作品です。
『金色機械』を読んだ際に、もう作家買いはしなくて良いかと、しばらく離れていたのですが、今回タイトルに惹かれて購入してみました。
思っていた以上にどの作品も面白かったです!
何作か感想を。

『無貌の神』
表題作はいつもの恒川氏らしい作品。
委細は分からないけれど、妙に説得力がある世界観。
神の屍体がとても美味しそうで……私もきっと食べてしまって、帰れなくなるタイプだろうなと思いました。

『死神と旅する少女』
お話としてはこれが一番面白かったです。
残酷さと希望がキッチリ絡んでいて、正に禍福は糾える縄の如しといったところ。
読後には時影を“死神”と称していいものか悩んでしまいました。

『カイムルとラートリー』
個人的に非常にツボに入った作品でした。
カイムルが哀れだけれど可愛くて可愛くて……!!
「オレ オマエ トモダチ」的な、片言で話す生き物が大好きでして(^^;)
ストーリーはありふれた印象ですが、カイムルとラートリー、二人に共通する聡明さと孤独と悲しみが、古典を読んでいるような美しさを感じました。

* * * * *

読後、何となく寂寥感が残るのが恒川作品の特徴だと思っていますが、今作もまた然り。この読後感がとても好きです。
やっぱり作家買いを再開しようかな。
posted by ミクロン at 20:00 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする