2018年02月17日

沈黙の書

『沈黙の書』
著:乾石智子(創元推理文庫)

火の時代、絶望の時代が近づいている。戦が始まる。穏やかな日々は吹き払われ、人々は踏み潰される。予言者が火の時代と呼んだそのさなか、いまだ無垢である“風森村”に、“風の息子”は生をうけた。だが、“長い影の男”がやってきたときすべてが変わった。天と地のあいだ、オルリアエントの黎明の時代を描く、大人気ファンタジー“オーリエラントの魔道師”シリーズ始まりの書。
「BOOK」データベースより


なかなか感想を書くのが追い付かなくて……読んだのはもう半年位前になってしまいました。
が、感想書き待ちの本がまだ何冊かあったりします……(゚゚;)

気を取り直して。
以前シリーズ全巻読み直したので、今回はバッチリ☆と思って意気込んで読みました。

にも関わらずちょっと自信がないのですが……ヒアルシュって、後のキアルスなんですよね??(爆)
どの人生も壮絶で、ちょっと不憫な気が……。
暗樹との因縁はヒアルシュの時からあったのですねぇ。

セグナ女神の像が薄気味悪くてツボでした。
“オーリエラント”の意味も明かされたり、珍しく読後感が希望に満ちたものでした。
『言葉の満てる大地』とは何て素敵な世界だろう、と。
しかしてっきり“オーリエラント”は“オリエント”のもじりだろうと、安直に思っていた自分が情けないです、はい。

これまでのシリーズの一番初めの物語との事ですが、文庫版では現在のところ『夜の写本師』が時系列として一番新しい物語、になるんですよね。
となると、このシリーズの着地点はどこなんだろうと、ふと思いました。
まだまだ読み続けたいけれど、結末も気になる。
悩ましい問題です。
とにもかくにも、早く次作を読みたいなぁ。
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2018年01月26日

永遠の森 博物館惑星

『永遠の森 博物館惑星』
著:菅 浩江(ハヤカワ文庫JA)

地球の衛星軌道上に浮かぶ巨大博物館“アフロディーテ”。そこには全世界のありとあらゆる芸術品が収められ、データベース・コンピュータに直接接続した学芸員たちが、分析鑑定を通して美の追究に勤しんでいた。総合管轄部署の田代孝弘は、日々搬入されるいわく付きの物品に対処するなかで、芸術にこめられた人びとの想いに触れていく……。優しさと切なさの名手が描く、美をめぐる9つの物語。日本推理作家協会賞受賞作。
「BOOK」データベースより


タイトルと設定に惹かれて購入。
初めての作家さんでした。

全体的に惜しかったです。
雰囲気は綺麗ですが、焦点が絞りきれず全体像がぼやけてしまったような。
惑星1つが丸々博物館だなんて、一体どんな素敵な美術品やら絵画やらが出てくるんだろうとワクワクしていたのですが……そういった方面はあまりなく。
主に学芸員と、彼らに接続されたシステムのお話でした。あと博物館と美術品の管理システムかな。

主人公の愚痴が非常に多いのが疲れました。
上司の愚痴を零すわりに、その上司についてのエピソードも説得力に乏しいものばかりなので、ただ過剰な愚痴を聞かされ続けるのにはなんとも辟易しました。
全体的なオチへの伏線でもあったのですが(伏線と呼ぶにはやや物足りなくもありますが)奥さんへの態度も非常に不快で疲れたのでした……。

ただ、とっても共感出来た部分もありました。
素直に感動する事の素晴らしさ。
おそらくこの作品の主題だったのかな、と思います。
何より手放したくない感性ですが、歳とともに鈍磨していくのを痛感している今日この頃です。
単純に“綺麗だな”・“面白いな”とは思うものの、直後には“どうしてそう思ったのか”とアレコレ原因を考えてしまいます。
『○○が△△だから面白かったんだな〜』というような……。
しかし……凡人の私でさえ随分前から危機感を抱いていたというのに、これほど優秀とされている主人公が、今の今までそんな単純な事に気付かないっていうのも何だかなぁ、と思ったり。

設定はとっても魅力的でしたが、色々と活かしきれていないように感じました。惜しい……。
でも懲りずに別の作品も少し読んでみたくなりました。
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2018年01月08日

アイネクライネナハトムジーク

『アイネクライネナハトムジーク』
著:伊坂幸太郎(幻冬舎文庫)

妻に出て行かれたサラリーマン、声しか知らない相手に恋する美容師、元いじめっ子と再会してしまったOL…。人生は、いつも楽しいことばかりじゃない。でも、運転免許センターで、リビングで、駐輪場で、奇跡は起こる。情けなくも愛おしい登場人物たちが仕掛ける、不器用な駆け引きの数々。明日がきっと楽しくなる、魔法のような連作短編集。
「BOOK」データベースより


『首折り男のための協奏曲』ではちょっとガッカリが強かっただけに、やや覚悟しつつ読みました(爆)
ではザッと。

『ライトヘビー』
オチが予想外で面白かったです。
私はジョン・レノンのミドルネームは知りませんでしたが、知ってる方なら途中でピンと来たのかな??
思わずなるほど、と納得。

『ドクメンタ』
これもオチが良かったです。
まさか通帳とは!
思いもよらない手段です。
ぼかした結末でしたが、ちゃんと後々分かるようになっていたのも良かったです。

* * * * *

どの作品も粒揃いでムラなく楽しめました。
ただ、全体的にとっても軽めなので、あまり強く印象に残るような感じではないのが惜しいです。
今作も“The 伊坂作品”の典型な感じではあったのですが、『首折り男のための協奏曲』と違って楽しく読めました。
今作は連作としてまとまりがあったから……なのかなぁ。
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2018年01月05日

首折り男のための協奏曲

『首折り男のための協奏曲』
著:伊坂幸太郎(新潮文庫)

被害者は一瞬で首を捻られ、殺された。殺し屋の名は、首折り男。テレビ番組の報道を見て、隣人の“彼”が犯人ではないか、と疑う老夫婦。いじめに遭う中学生は“彼”に助けられ、幹事が欠席した合コンの席では首折り殺人が話題に上る。一方で泥棒・黒澤は恋路の調査に盗みの依頼と大忙し。二人の男を軸に物語は絡み、繋がり、やがて驚きへと至る!伊坂幸太郎の神髄、ここにあり。
「BOOK」データベースより


かれこれ1年近く積読で放置、読後も感想を書くのも放置しておりました……。
既読本が溜まってきたので、ようよう重い腰をあげて、印象に残ったものだけザックリと感想です。

『首折り男の周辺』
短編ながら登場人物も多く、濃い作品でした。
それぞれのエピソードがきちんと繋がって、読後感スッキリで楽しめました。

『濡れ衣の話』
伊坂氏らしい雰囲気のお話でした。
影はあるけれど、優しい。
時空のねじれ設定は面白くなりそうだったので、もう少し連作で読みたかったです。

『僕の舟』
今作で一番印象に残りました。
とっても綺麗に作られていて、さらりと読めてしまうけれど、心に残るような。
黒澤氏は久しぶりの登場のような気がします。

* * * * *

後半はちょっと新鮮味を感じられずモヤモヤ。
“The 伊坂作品”とでも言いますか、悪くもつまらなくもないのですが、どうも過去の作品と似たり寄ったりの印象しか受けず……。前半がなかなか面白かっただけに残念です。
首折り男(大藪と小笠原両名)の話を連作で読みたかったところです。
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2017年11月21日

明治・妖モダン

『明治・妖モダン』
著:畠中恵(朝日文庫)

「江戸が終わって20年。妖たちがそう簡単にいなくなると思うかい?」モダン銀座の派出所に勤める巡査・原田と滝の元へは、瞬く間に成長する少女や鎌鼬に襲われた噂など、不思議な厄介ごとばかり持ち込まれて……!?ゾクゾク妖怪ファンタジー、第1弾。
「BOOK」データベースより


“しゃばけ”と“若様組まいる”の中間のような作品でした。
“若様組まいる”のように少しシビアな世で、登場人物の悪感情も強めに描かれていて。
それでいて、妖達が主役。

“煉瓦街の雨”のオチは雰囲気が出ていて良かったですし、“花乃が死ぬまで”は“しゃばけ”寄りの優しさと切なさのある話でした。
ただ、どれもそれなりに面白かったのですが、若干マンネリ気味の印象でした。
どうしても“しゃばけ”と比べてしまう、というのもありますけれど、登場人物の個性がどうも定型化しているような。
もう少しそれぞれの背景や心情が描かれてくるといいなぁと思いました。

ちょっぴり期待したのは、明治の世を生きる“しゃばけ”メンバーもチラッと出てくるかな、と。
充分あり得そうですが、そうなると作品の雰囲気がチグハグになる気もしますね……うーん。
でも今後に期待してます!
posted by ミクロン at 19:00 | Comment(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする