2018年07月14日

封神演義 導なき道へ

『封神演義 導なき道へ』
原作:藤崎竜 小説:吉上亮(JUMP j BOOKS)

女媧との戦いの後。人界も仙界も大いなる道標から解き放たれ、定まりきらない未来へ歩み出している。そんな中、最強の道士、申公豹は一人神界を訪れる。神界に居る、大戦で命を落とした魂魄たちに聞かなくてはならないことがあるというのだが……。
「BOOK」データベースより


うーん、ちょっと期待外れでした。
『覇穹』がああだった反動か、ちょっと期待してしまっていたのが悪かったようです(爆)

8割位は原作を文章化した内容。
残りの2割が、キャラの心情とオリジナル、と言ったところでしょうか。
原作での細かな心情を補足するかのようなお話でした。
ではそれぞれ少しずつ。

【第一章 普賢】
仙人界にいた当時の太公望が、ちょっと硬いような気がします。
まるで当初から伏羲のよう。
細かい事ですと、普賢が楊戩を“さん”付けで呼んでいたのはちょっと気になりました。原作では呼び捨てでしたから。

【第二章 聞仲】
殷での生活がメイン。
殷との関係、飛虎との関係等々。ちょっと同じ内容が繰り返しになっていて冗長に感じました。
商容と比干の登場は嬉しかったです♪
申公豹にお茶、それも趙公明からの紅茶を出す聞仲は、想像するとなんだか微笑ましかったです。
聞仲が出すなら日本茶のイメージ。それも渋〜いやつ(笑)
ちょっとだけ気になったのは妲己の呼称。
太丁時代の彼女は王氏を名乗っていたはず。
回想だから妲己と呼んでも間違いとは言えませんが、“その名も妲己”とするのはちょっと気になりました。“妲己”の名前は彼女の本当の名ではないですからねぇ。

【第三章 趙公明】
今回、一番面白かった章です。
彼の生命観はその原型と相俟って、説得力がありました。
一番違和感なく申公豹とやりとりが出来ていたと思います。

【第四章 天化】
神界でガテン系を担ってる設定は楽しかったです。神界の中の話はもっと読みたかったな〜。
天化の話はほぼ原作そのままでした。

* * * * *

全体的にキャラがちょっとぎこちなく、違和感がありました。
何となく『覇穹』の方のキャラに近いような気が……。
でも逸脱していると言う程でもないので、その辺りは個人の感じ方かと思います。

良くも悪くも“ライトノベルでノベライズした”といった作品でした。
サラッと読めますが、変な言い回しだったり、擬音語が多かったりも気になりました。
カッコイイ書き方をしたい、と言うのだけはヒシヒシと伝わってきましたが(苦笑)
例え単語や言い回しを変えたとしても、同じ内容を何度も繰り返されるのは読みづらかったです。
原作も元を辿れば小説なので、もう少ししっかりした文章で読みたかったので、ちょっと残念。

総じてちょっと原作に色を付けた程度のお話でしたので、もう少しオリジナリティも欲しかったです。
それとも設定に無理があったのかな……。
折角申公豹を使うなら、他の始祖達とお話させてみたりしても面白かったかな、とか。
申公豹自身の過去話も面白そうですしね。
なので、今度は色々な作家さんに書いてみて頂きたいですね!
posted by ミクロン at 01:00 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月08日

ブラック・ベルベット

『ブラック・ベルベット』
著:恩田陸(双葉文庫)

東洋と西洋の交差点、T共和国。外資製薬会社の凄腕ウイルスハンター・神原恵弥が訪れた目的は、夢のような鎮痛剤と噂される「D・F」についてある人物から情報を得ることと、T共和国内で消息を絶った女性科学者を捜索すること。そしてもう一つは、密かに恋人関係にあった橘浩文と再会することだった。国内で見つかったという黒い苔に覆われた死体、女性科学者の足取り、「D・F」の正体、橘の抱える秘密…。すべての背景が明かされて浮上する、驚愕の事実。好評シリーズ第三作!
「BOOK」データベースより


久しぶりの神原恵弥シリーズ新刊!!
恩田作品の中でもかなり好きなシリーズです♪
1作目の『MAZE』が大好きなのですが、前作からはちょっとテイストを変えて、旅行記ミステリになった模様。

今作は近年の恩田作品の中ではピカイチで面白かったです。
やはり恵弥の話し方が巧くて面白くて惹き込まれてしまいました。
けたたましいけど、押しつけがましさがなくって自然体なのが素敵です。
恩田氏はやはりエンタメ作品が一番向いているのかも……と思いました。

観光したり謎が謎を呼んだり疑心暗鬼になってみたり。
飽きる間もなく展開していくのは読んでいて本当に爽快でした。
T共和国にますます行きたくなりました。

今回はこれまでの面々も続々登場。
満以外はあまり覚えていなくて、結局前2作も読み返しましたが(笑)
そこで気付いたのですが、満って中学時代の同級生だったのが、前作から高校の同級生に変更されていたんですね。
全然気付かなった……。

このシリーズは是非続いて欲しいです。
posted by ミクロン at 03:00 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月01日

玉依姫

『玉依姫』
著:阿部智里(文春文庫)

高校生の志帆は、かつて祖母が母を連れて飛び出したという山内村を訪れる。そこで志帆を待ち受けていたのは、恐ろしい儀式だった。人が立ち入ることを禁じられた山の領域で絶体絶命の少女の前に現れた青年は、味方か敵か、人か烏か?ついに八咫烏の支配する異世界「山内」の謎が明らかになる。荻原規子氏との対談収録。
「BOOK」データベースより


シリーズ5作目。
前作、前々作とかなり面白くなってきただけに、今回は割と期待しておりました。
しかし次巻で完結との事なので、やっぱり様子見で電子版を購入。
結論から言うと、電子版で正解でした……(爆)
今作は外伝のような印象。
もともとはこちらのお話があって、八咫烏の方がスピンオフ、との事でしたので、そのように感じたのはあながち間違いではないのでしょうが、それにしてもちょっと期待していたものとは違いました。
外伝が悪いとかではなくって、内容そのものが……ちょっと酷い感想になりそうですが、どうぞご容赦下さいませ。

でも先に良かったと思う所を……。
外界が人界である、というのは随分前から暗示されていましたが、とうとう山内の成り立ちが明かされました。
これはスッキリしました!!
親切過ぎる大天狗は微笑ましく、頼り甲斐があって良かったのですが、あまり彼を活かしきれていなかったのがやや残念。
便利屋キャラになってしまっていたような。

では、ネガティブな方を……(爆)
一応時系列としては前作の続きで間違いないようですが、一番知りたかった部分がスッポリ抜け落ちていて、推測する事すら出来ない程描写がありませんでした。
そう、烏と猿はどうやって(仮初だとしても)停戦、もしくは和解をしたのか、ってところが一番知りたかった……。
どうして再び禁門を開けたのか、はたまた猿側から禁門を通って来たのか。
小猿を殺してまで烏と敵対していた(と言うか食べたがってた?)のに……。
山神に烏達を殺して貰って、その上で山神に成り代わるつもりだったのかな??
うーん、烏を食べたら馬鹿になるって言うのも気になっていたのですが……次回に持越しですかねぇ。
大猿の感じだと、もっと他に思惑があったようにも感じられましたが、結局最後に椿の荒魂と一緒に倒されたっぽいので、もう分からず仕舞い……なのでしょうか。
あれほどイイ感じに不気味だったのに、勿体なーい!!

今作はどうにも設定が稚拙というか、異世界と現実と上手く融合させようとして失敗してしまった、という印象でした。
山内村の設定では説得力があまりに無いので、かなり強引に感じてしまって、逆に違和感が際立ってしまったような。
人と人ならざる者の解釈や、神の名の辿り方など、どれもこれもどこかで読んだような書き方だったのも気になりました。
荻原規子と小野不由美を足して割ろうとして、失敗したような……。

これまでの山内の世界観が非常に薄っぺらくなってしまったのが勿体ないです。
ちょっと期待し過ぎだったのかもしれません……だって猿の不気味さが本当に素敵だったから……。
次巻で第一部完結との事。

タイトルから察するにハッピーエンドなのでしょうか。
しかし山神が落ち着いてしまったのなら、山内の問題も解決するはずで、次巻は一体何をするんでしょう。
ともあれ、雪哉も再登場のようですので、ちょっぴり期待しても……いいでしょうかね??(涙)
そういえば今回殺された近習って、過去の登場人物の誰か……とかではないのでしょうか??
色々考えたのですがイマイチ分からなくって。呪いを受けたのは恐らく明留ですよね??
彼は一先ず助かってホッとしましたが、となるとその場には他にも……と思ってしまって。
むむむ。

好き放題に書き散らしてしまいました……。ご不快でしたらごめんなさい(>_<)
posted by ミクロン at 22:00 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月04日

なりたい

『なりたい』
著:畠中恵(新潮文庫)

誰もがみんな、心に願いを秘めている。空を飛んでみたくて、妖になりたいという変わり者。お菓子を作りたいがため、人になりたがる神様。弟を思うがゆえ、猫に転生した兄。そして、どうしても子を育てる親になりたい女――。それぞれの切実な「なりたい」を叶えるために起きた騒動と、巻き込まれた若だんなの本当の望みは?願いをめぐる五つの物語がつまった「しゃばけ」シリーズ第14弾。
「BOOK」データベースより


読んだのは今年の始め頃ですので、随分経ってしまいました……。
もう新刊を買うのも読むのも追いついていない今日この頃です。
『うずら大名』も積読中です……(>_<;)
そして本屋には『まったなし』も並んでおりました……うぅ。

気を取り直して、少しだけ感想を。

今巻には、『序』と『終』、そして5編の短編で構成されていましたが、やはり一番印象に残ったのは『終』でした。
以前の『えどさがし』に通ずるお話で、寂寥感の漂う締め括り。
いつか必ず来る別れと、その先にある少しの希望と。
その続きは『えどさがし』でわずかに描かれていましたが、“今”の若だんなを思うとやっぱり複雑で。

このシリーズの結末を考えさせられる一冊でもありました。
やはり若だんなと妖達の別離まで書ききるのかな??
最近はややマンネリと言うか、惰性で続いているような気もしてきているので、そろそろ結末を読みたい気もします。
が、もっと読み続けたい気持ちもあるので、なんとも複雑な気分です……(^_^;)

……ホントに少しの感想でした(*_*)
posted by ミクロン at 23:00 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月30日

冬虫夏草

『冬虫夏草』
著:梨木香歩(新潮文庫)

亡き友の家を守る物書き、綿貫征四郎。姿を消した忠犬ゴローを探すため、鈴鹿の山中へ旅に出た彼は、道道で印象深い邂逅を経験する。河童の少年。秋の花実。異郷から来た老女。天狗。お産で命を落とした若妻。荘厳な滝。赤竜の化身。宿を営むイワナの夫婦。人間と精たちとがともに暮らす清澄な山で、果たして再びゴローに会えるのか。『家守綺譚』の主人公による、ささやかで豊饒な冒険譚。
「BOOK」データベースより


『家守綺譚』の続編。
今回は高堂の家を離れ、ゴローを探しに。
ファンタジックなロードムービーのような内容でした。

全体的に靄に包まれたような柔らかで優しく、どことなく切ない雰囲気は相変わらず。
そしてほんの少しの不気味さも。

河童が可愛らしくも切なかったです。
イワナの宿屋も、どことなく不気味さがありつつ、でも何となく可笑しみもあって。
特に大きな起伏のあるストーリーではなく、むしろ淡々と進むのですが、その独特な雰囲気が癖になり引き込まれます。

ただ気になるのは高堂の存在。
今後どうなってしまうんでしょう。
このまま、というのも遣る瀬無い気がします。
けれどハッキリとした結末を明示するのも、このシリーズではちょっと違うかな、という気もしたり。
でもちゃんと完結もして欲しい……うーん、難しい。

ラストのゴローとの再会はとてもホッとし、安心感がありました。
戻ってきて本当に良かった。

もっとずっと読んでいたい、そう思える作品でした。

それにしても……感想書かずに放置しているのがまだ何冊もあるのですが、そろそろ記憶が怪しくなりそうです……(焦)
posted by ミクロン at 01:00 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする