2019年11月20日

白銀の墟 玄の月 第三巻・第四巻

『白銀の墟 玄の月 第三巻・第四巻』
著:小野不由美(新潮文庫)

【第三巻】
新王践祚―角なき麒麟の決断は。李斎は、荒民らが怪我人を匿った里に辿り着く。だが、髪は白く眼は紅い男の命は、既に絶えていた。驍宗の臣であることを誇りとして、自らを支えた矜持は潰えたのか。そして、李斎の許を離れた泰麒は、妖魔によって病んだ傀儡が徘徊する王宮で、王を追い遣った真意を阿選に迫る。もはや慈悲深き生き物とは言い難い「麒麟」の深謀遠慮とは、如何に。
【第四巻】
「助けてやれず、済まない…」男は、幼い麒麟に思いを馳せながら黒い獣を捕らえた。地の底で手にした沙包の鈴が助けになるとは。天の加護がその命を繋いだ歳月、泰麒は数奇な運命を生き、李斎もまた、汚名を着せられ追われた。それでも驍宗の無事を信じたのは、民に安寧が訪れるよう、あの豺虎を玉座から追い落とすため。―戴国の命運は、終焉か開幕か!
「BOOK」データベースより

まだ胸が一杯でとっても雑な感想です(^^;)
もう少し整理出来たら書こうと思っていたのですが……果たしていつになるかサッパリだったので、とりあえずザックリ書いてみました。
いつも以上に読みにくいことこの上ないと思います。
今回もネタバレ全開ですので、ご注意下さいませ。

先の一巻・二巻の鬱屈を全て吹き飛ばすかのように、勢いよく動き出す情勢。
それぞれの人物の内面がようやく見えてきて。

そして何より、涙無しでは読めませんでした。

飛燕は勿論ですが、正頼の元へ向かう件の、泰麒が葛藤の中で広瀬を思い出す所からの一連が、特に。
残して来た広瀬がその後に直面するであろう諸々も、ちゃんと分かっていたんだなって、そしてその事を今も忘れずにいたんだな、と。
それに続く正頼との再会も、嬉しい反面、非常に辛かった。
予想はしていましたが、素直に生きていて良かったとは到底喜べない惨状。
にも関わらず、あの全く変わらない口調が懐かしいやら切ないやら。
その後、阿選に対して偽りの誓約をする場面も辛かった。
屋上から落とされたクラスメイト達に、岩木。そして生死すら分からない沢山の生徒たち。
間抜けな事に、ここにきてようやく、泰麒にとってあの事件はつい最近の出来事だったんだと思い至ったのでした。
個人的にはもう何年も前、実際の経年通りの感覚でいましたから、余計になんとも複雑で辛くて……。

沢山の人物があまりに呆気なく亡くなるあたり、『魔性の子』を思い出しました。
これで最後の犠牲であると信じています。

今回、ようやく驍宗の為人が分かったような。
以前はもっと硬質で威圧感があって、とっつきにくいように感じていましたが、今作では李斎の感じたように、どこか角が取れたような、余計なものがなくなって、生真面目さや誠実さが見えたような。
深淵の中での淡々とした様子に、彼の器の大きさを思い知らされた気分です。
正直なところ、気後れする感じがして、これまであまり好きではなかったのですが、今作で初めて好感が持てました。
と言うか、篁䕃!!!
惜しげもなく砕かれてしまいましたが、まさかここで出てくるとは……。
王の強運は昇山以外でも健在なのですね。

そしてやはり阿選。
やっと、人物像が!
驍宗よりも親しみやすそうな印象。
驍宗に似ているけれども、その僅かな差異が、道を違えさせたのかな。
周囲の人間、特に琅燦の存在も大きのでしょうけれど。

その琅燦はまだまだ謎多き人物ですね。
驍宗、阿選との関係性もあまり分からなかったですし、妖魔を使役できるって言うのもかなり不思議。
いくら黄朱と言えど、そこまで完璧に、それこそ麒麟の使令のように使役が可能であるならば、色々凄く面白くなりそう。
途中から玄管は琅燦なのでは、と言う気もしてきましたが、そうなるとなかなか整合性が……うーん。
この辺りは短編集に期待です!!!

肝心の泰麒……ようやく泰麒の事が好きになれました(爆)
『風の海 迷宮の岸』を読んだ当時は、泰麒と歳が近かったこともあり、若干卑屈にすら感じる性格はあまり好きになれませんでした。
可愛いな、と思うようになったのは、初読からかなり後のこと。
それからすぐに読んだ『魔性の子』での泰麒は、幼い頃からすっかり変わっていた事、内面がほとんど分からない事とで、どこか得体が知れない印象でした。私が幼かったせいもあるんですけれど。
黄昏の岸 暁の天』でようやく身近に感じられそうな印象になり、そうして今作。
やっと、彼が分かってきたと言いますか。
己の手を直に穢す事が出来たのは、胎果の黒麒だからこそ、なのかなと感じました。
胎果だからこその思考と、それを実行可能にする黒麒の力とで。
“絶対”に出来ないとされた叩頭も、黒麒だからこそ出来たのではないかと。普通の麒麟では耐えられないのでは。
甚だしい穢瘁、後々まで残る程、と言うのは、やはりその叩頭も原因なのでしょうかね。
この辺りも是非短編集で……!
蓬山での泰麒の様子も気になりますが、蓬山自体の様子も気になります。
塙果は孵ったのかとか、峯果は生ったかとか。

あ、あと角が癒えたのって、士遜に面会中の、膝をついた時なんでしょうか。
それで王気が分かるようになって、一礼していたのかな、と。

そうそう、鳩(と思われたもの)の正体は次蟾でしたね。き、気持ち悪い……。
恵棟は本当に残念極まりないです。治す方法、本当にないのかな……悲しい。

まだ2回ほどしか通読していないのですが、よく分からなかったのが、彦衛。ちょっと意味ありげな描写がありましたが、空行師に通じていたとか……??
うーん、もう一度、今度は一巻から読み返さねば!

羅睺がとっても可愛い〜!!!!
黒なのは、やはり黒麒に因んで……なのかな。
何にせよとにかく可愛らしい。その後ちゃんと驍宗と再会できたかな。
付いてくるって言っていたので、多分会えたんだと信じています!
あと、とらが無事に主の元に戻れて一安心です。

結構な謎も残りましたが……一応は大団円でホッとしました。
最後に美味しい所を全て持って行った感のある尚隆と六太ですが、彼らは本当に頼り甲斐があって、登場するだけで安心してしまいます。
短編集では、彼らに加え陽子&景麒との再会も期待します!!
posted by ミクロン at 22:00 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする