2020年09月30日

ワトソン・ザ・リッパー〜さる名探偵助手の誰にも話せない過去〜

『ワトソン・ザ・リッパー〜さる名探偵助手の誰にも話せない過去〜』
著:SOW(LINE文庫エッジ)

十九世紀、「世界の半分を所有した」大英帝国の首都・ロンドン。カトリックの若き神父、ジェイムス・H・オーランドは、ロンドンを賑わす殺人鬼『切り裂きジャック』に狙われる少女・マーガレットの警護にあたる。簡単な任務と思われたが、突如現れた異能の悪魔、そして謎の機械・蒸気甲冑までもがオーランドに襲いかかり、事態は予測不可能な展開へ……?霧と蒸気、悪魔と探偵が闊歩する街ロンドンを舞台に、新たな物語が今、幕を開ける!
「BOOK」データベースより

タイトルから、ワトソンが切り裂きジャック、又はワトソンが切り裂きジャックと対決する感じなのかなと、ろくろく紹介文を読みもせず購入。
結果、(あくまで個人的に合わなかったという意味で)ハズレを引いてしまいました……。
私の苦手なタイプの“ザ・ライトノベル”な作品でした。
大変申し訳ありませんが、かなり酷い感想になってしまったので、この作品や作者様がお好きな方はどうぞご注意下さいませ……。

ホームズシリーズが好きで、パロディやパスティーシュもぽつぽつ読んできましたが、今作はかなり中途半端な内容でした。
いかにもラノベな全能感あふれる悪魔のお陰でミステリとしては成り立たず、かといってファンタジーやスチームパンクに分類するには説得力が乏しく。
そもそもホームズに絡める必要があったのかな、との印象も拭えません。
テンポは良いですが、その分メリハリがなく平坦でした。
ストーリー以外の部分で気になってしまう設定が非常に多く、世界観の甘さが目に付きました。

どうしても気になったのは、イギリスの国教がプロテスタントという設定。
ヴィクトリア朝の頃も国教はイングランド国教会だったと思うのですが……。
あえてそう設定していたのか、単なる誤用なのかが分からず、結構ストーリーにも関わって来る設定だったので終始モヤモヤでした……。
非常に大雑把に括ればプロテスタントに分類されるのかもしれませんけれど、元々の経緯を考えるとあまり一括りにしないような。
学校の世界史でもイングランド国教会と習った記憶がありますが……かなり昔の事なので、今ではまた違っているのでしょうか。

もう一つ気になったのは、人名です。
アンリ・モモ。
欧州圏で「アンリ」が女性名である事はまず有り得ないのではないかと……。
特にイギリスだったら「アンリ」の読みは「ヘンリー」になってしまうはずです。
ファミリーネームなら女性でもいらっしゃるのでしょうけれど。日本では何故か「アンリ」は女性名なので、混同されたのかな。
実は男だった、ってパターンなのかと思って読んでいたのですが、普通に女性でした……。
あと、アニー・マーガレットも。
ファーストネームで「マーガレット」はポピュラーですが、ファミリーネームでは……。

作品の内容とはあまり関係ありませんが、言葉の使い方もちょっと引っかかるものが多かったです。
特に「お昼間」。
これは初めて目にした表現で、咄嗟に読み方が分かりませんでした(^^;)
ネットで検索してみると、どうやら関西方面の方言なんですね。口語でも使用されているとの事で、今回初めて知りました。

ひたすら重箱の隅をつつくような感想で、心底申し訳ありません……。
posted by ミクロン at 23:00 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月22日

もうひとつの空の飛び方 『枕草子』から『ナルニア国』まで

『もうひとつの空の飛び方 『枕草子』から『ナルニア国』まで』
著:荻原規子(角川文庫)

「RDGシリーズ」で人気の著者が、自身の“ファンタジーのDNA”を育んだ名作を紹介。『赤毛のアン』の日常と『枕草子』の宮廷生活の描き方に共通するものとは。古代中国を思わせる小野不由美の「十二国記」に西洋の児童文学を想起するのはなぜか。実は青春恋愛譚として読める佐藤さとるの『だれも知らない小さな国』。デビュー作『空色勾玉』のエピソードなど、読書の幸福が溢れるブックガイドとしても読める名エッセイ集。
「BOOK」データベースより

奇しくも、恩田陸『土曜日は灰色の馬』の後に読みました。
『土曜日は灰色の馬』が作品の紹介と感想だったのに対して、こちらは解説の色が濃いエッセイでした。

『枕草子』は古典の授業でわずかに触れた程度なので、いつかちゃんと読んでみたいな、と思っていましたが、今回ますますその思いが強くなりました。
しかし、同様にいつか必ずと思っている『源氏物語』は与謝野晶子版を購入したところで満足してしまって、もうかなりの年月、積読と化しております……。果たして本当に読める日が来るのか……(・・;)
『妖女サイベルの呼び声』も面白そうだしな〜。
当分、次に読む作品には困らなさそうです。
posted by ミクロン at 01:00 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月14日

土曜日は灰色の馬

『土曜日は灰色の馬』
著:恩田陸(ちくま文庫)

恩田陸が眺める世界。小説、漫画、映画に音楽、舞台まで…少女時代からありとあらゆるエンターテインメントを堪能し、物語を愛し続ける作家の眼にはどんな世界が映っているのか?その耳では、どんな響きを感じているのか?どんな言葉で語るのか?軽やかな筆致で想像力の海原を縦横無尽に楽しみ尽くす、とびきり贅沢なエッセイ集。
「BOOK」データベースより

もうメチャクチャ面白かったです(*^-^*)
最初、病院の待ち時間に読み始めたのですが、あまりに面白いので大事に少しずつ読みました。
ブラッドベリの『塵よりよみがえり』も、これに解説が載っていたから存在を知ることができました。

もう出てくる作品全てがとても魅力的に思えてしまって、読みたい本リストが一気に膨れ上がりました。
特に惹かれたのはジャック・フィニイ。
多分、何かのアンソロに収録されていた『台詞指導』しか読んでいないので、もうメチャクチャ読みたくなりました。
が、早速調べたところ、ほとんどが絶版なのには愕然……。こんなにも有名な作家なのに……!!
是非とも再版して頂きたいものです……(T-T)

あと三島由紀夫。
読まず嫌い(!)の作家の一人で、教科書に載ってた作品以外は読んだ事がありませんでした。
でも『春の雪』はとっても読んでみたくなりました!
こちらは現在に至るまで出版されているので非常に入手容易で有難い限り。

些末な事ですけれど、“「マイ・フェイバリット・シングス」は映画『メリー・ポピンズ』の中の一曲”、と書かれていましたが、正しくは『サウンド・オブ・ミュージック』なのではと……。『EPITAPH東京』では正しく書かれていたので、どうしたのかな(^^;)

小説に限らず漫画も映画も音楽も、どれもとっても面白く魅力的に書かれていて、視野の広さと懐の深さが凄いですし羨ましい限り。そして何よりも、それぞれの作品に対する愛が端々に感じらました。それにつられて私もムクムクと読書欲が湧いてきたので、まずは三島由紀夫から読んでみようと思っています♪
posted by ミクロン at 21:00 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月08日

シチリアを征服したクマ王国の物語

『シチリアを征服したクマ王国の物語』
著:ディーノ・ブッツァーティ/訳:天沢退二郎・増山暁子(福音館文庫)

とおいむかし、厳しい冬の飢えと寒さにたまりかねたクマたちは、すみかの暗い洞穴から出て、山をおりることにした。行く手に待ち受けるのは、残忍な大公に、ばけ猫、人食い鬼。ゆうれいもいれば、魔法使いもいる。さてはてクマたちの運命やいかに。おもしろく、やがて悲しい、クマ王国の物語。小学校中級以上。
「BOOK」データベースより

ブッツァーティは国語の教科書に載っていた『急行列車』で好きになり、何作か読んでいました。
が、こんな作品があるなんて全く知らなかったです……!!
クマ好きとしては、このタイトルで即買いです!(笑)

とにかく挿絵が可愛らしく、設定や語り口からも、ほのぼのしたお話なのかと思いきや、結末はかなりシビアで現実的。
子供の頃に読んだらきっと長く印象に残ったろうな、と思います。
あまり本を読まない子供だったので(今もあまり読まないですが)色々と勿体ないことをしたな、と時々思わずにいられません。
『小公子』といい……勿体ない!

こんな作品も書いていたのかと、意外性たっぷりの作品でした。
posted by ミクロン at 22:00 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする